朝のドライブ

チビ1号はウイルス性結膜炎で休み

チビ2号だけを送る、一箇所だけなので焦る必要もなく気持ちに余裕があるためか、ついつい法定速度よりのんびり運転してしまう。混雑する踏切を避けるために帰りしには、信号が8箇所ある。


ある信号が赤に変わり待つ間、歩道に目をやると、

道行く人の中に

自転車に乗り長い髪を風に躍らせている女子高生を見かけた。

髪の美しさ、、、染色していない髪だけが持ち得る艶にハッとした。

自転車を停め、信号近くの赤ポストに

手紙を投函してまた進んでいく。

学生が手紙を出すという行動を見た時に、懸賞や応募ハガキ、友人に書いたものなどをいつも投函していた懐かしい自分を思い出したりした。


青信号

私も彼女と同じ方角へ進む、次の信号はスクランブル交差点で

私はそこを右折して行く。


スクランブル交差点には様々な人が行き交い、あちらこちらの目的場所へそれぞれが動き出す。

自転車の彼女はまだ交差点の角に止まったままで、何をしているのかな?

ケータイでもいじっているのかな?

さっきポストに手紙を出したのを見て感じた、古風な雰囲気、女学生という基礎的な美しさが

なんとなく裏切られたような残念な気持ち、やっぱそうだよねという、一昔前の、ケータイの無い、今よりゆるやかに流れていた時間から急に1秒で現実に戻されたような

つまらない気分になった。


歩行者信号がウインクをしている、

私の行く方向がそろそろ青になる、と思っていた瞬間に

もう一人の別の

自転車に乗った髪の長い乙女が颯爽と現れて、止まりもせず軽やかに

さっきの彼女と一緒に

ウインクをしているスクランブルを同じ方向へ渡って行った。


待ち合わせしていたのか。

彼女ケータイなんて見てなかった、ただ真っ直ぐ友人が来る方を見ていたのか。


長い髪が秋風を纏い

二人は緩やかな坂の下に見えなくなった。

私は右折の矢印に従い別の方向へ進む。


今朝はとても美しいものを見た。

亜麻色の髪の乙女、長い髪の少女?

気をつけなくちゃ運転には気をつけなくちゃ。