秋たけなわ | 味噌おやじのブログ

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《秋たけなわ》
皆様如何お過ごしですか、
食べるものが美味しくなってきました。
10月いっぱい『吉祥寺ねこ祭り2015』開催中で、
当店にもチラシ片手に
『ねこマンマ』お召し上がりのお客様が増えています。
ネコと言えば今お出ししているリーフレットに
ネコの話が載っています。
読んだ方もいらっしゃるかとも思いますが、
改めて出してみます。
本当にあった話です。





<ミャーオー、ミャーオー>
店に帰って来ると、ちょうどベンチシートの裏側、
壁の後ろから猫の鳴き声、しかも子猫。

「おい、猫鳴いてるぞ、この奥」

「はい、そうなんです。
昼はキッチンの天井裏で鳴いていたんですが、
歩いてて落っこちたみたいなんです。
よく平気ですよね、それにこんな狭い所じゃ
親猫も助けられないですよね。」

ちょうどうちと隣のブティックの間が10cm位
お互いの壁の間に隙間がある。
その隙間に天井裏から落ちたらしい。

親猫がくわえて上ることもできないしましてや
子猫が独自で這い上がることも全くもって不可能。
今は元気に鳴いていてもその内放っておけば、
そうだよ、必ず死んでしまう。間違いなく。
参ったな。

「しょうがねえな、穴開けるぞ。ちょっと手伝え」
ベンチシートを手前に引き出し、
泣き声する当りにカッターナイフを差し込む。
カチッ刃が折れた。結構堅い、
何度か刺して引いて少しずつ切れてきた。
10cm四方の穴を開けてみる。
が居ない。

どうももっと右らしい。1メートル右に又穴を開ける、
やはり居ない。
間に柱があって手が入っていかない。
泣き声は柱の向こうだ。
相変わらず鳴き続いている、
が心なし弱って来ているみたい。
じゃあこの間しかない。三つ目の穴を開ける。

<ミャーオー>
声が響いた。
「ここだ、お前手小さいからこの穴から突っ込んでみろ」
「きゃあ、いました!ちっちゃい」
「そのまま、引っ張り出せ」

女性スタッフの小さな手の上で、
まだ目も開かない子猫が震えている。
<ミヤーオー、ミヤーオー>
柄に似合わずデカイ声で鳴いている。
「ようし、じゃあミルクだ」

牛乳をティッシュに含ませて口に当ててやる、
が、吸おうともしない。水でもダメ。
相変わらず震えながら<ミヤア、ミヤアー>鳴くばかり。
「親猫を呼んでんじゃない?」

それではと、味噌の空ダンボールに入れて、店の裏、
人気のない空き地に置いてみる。
子猫は声張り上げて鳴いているものの
親猫現れる気配も無い。

「どーするよ、もうかれこれ一時間、親来ねーぜ」
やっぱ死んじゃうのかな。

スタッフの一人が言った。
「分かりました、友達に一人獣医やってるのがいます。
国分寺ですけど電話してみます。」
夜10時過ぎで迷惑な話ではあるけど仕方ない。

「連絡とれました。猫持って来れば預かってくれるそうです。
これから帰る途中置いてきます。」
「そうか、すまんな、よろしく言ってくれ。」

一週間が過ぎた。
「そういえば、この前の子猫どうした、聞いてみたか?」
「はい、昨日連絡がありました。さすが獣医ですね、
暫くすると元気になって、
そうしたら里親が見つかって、もらわれて行ったそうです。
元気にしてると思いますよ、よかったです。」

ほんと人騒がせな猫だよ、ヤレヤレ。
おかげで、シートをずらすと壁の下の方に
ガムテープで貼った四角い穴が三つ並んでいる。