お向かいの奥さんが、言うてはったんやけど、
お母さんいうたら、あの姿を思い出すわ~
片方だけの松葉杖つきながら、
ひょこひょこ、足引きずりながら歩いて、
買い物かごに入れてある市民新聞を
一軒一軒、配ってはったな~
お向かいの奥さんが言うてはるのは、
まだ母が、松葉杖をつきながら
なんとか、歩けた頃、
なんでか知らんけど、よう町内会長さんの役が
選挙で、選ばれて、うちに回ってきて、
当然ながら、何もしない(笑)父に代わって、
私と完ちゃんとで、ぎょうさんある市民新聞を
隣組の数に合わせて、数えながら、分けたもんでした。
それを、少しずつ、竹で編んだ買い物かごに入れては
1組、2組と、隣組ごとに、一軒ずつ、配って歩くのが、
町内の役員さんのお仕事のひとつやったので
当時まだ学校へ行っていた私の代わりに
完ちゃんが、ひとりで、新聞配りをしてくれてた姿やと
思います。また、
今と違うて、昔は、スーパーなんていうものはあらへんで
買い物言うたら、竹で編んだ買い物かごを手に提げて
近くの商店街お店で、八百屋さん、肉屋さん、魚屋さん、
お総菜屋さんと順番に買うて回ったもんでした。
八百屋さんでは、野菜は新聞紙に包んでもろたり、また
お総菜屋さんでは、大きなパッドに入った色んなおかずを
〇〇グラム、いうて、計ってもろて、
ビニール袋に入れて渡してもらうので
今みたいな、プラスチックの容器言うもんは、
まったくあらへんかったので、当然ながら
ゴミの分別いうのも、せんでも良かった
ほんまに、楽な、ええ時代やったんです。(*^^*)
ときおり、私が、商店街へ完ちゃんを探しに行くと、
あちらこちらの両側のお店から、
ともちゃん!お母さんか?
今、○○さんとこへ行かはったえ!
言うて、声かけてもろて、そちらを見ると
買い物かごを手に、松葉杖で、トコトコと
歩いている白い割烹着姿の完ちゃんを、発見!(*^^*)
たちまち、見つけることができました。
それからまもなく、足の手術がうまいこといかへんで
一日をほとんど寝たきりで過ごすようになってしもた
完ちゃんでしたが、また
当時、それぞれのお店の前に人だかりができて
お昼前などは、道いっぱいに、人で混雑していた
あの想い出いっぱいの商店街も、
今は、すっかりシャッター通りになってしもて
人の姿もまばらになってしもたんですけど
今でも、松葉杖をつきながら、買い物かごを手に
トコトコと商店街のお店を渡り歩いていく完ちゃんの
可愛らしい後ろ姿が、目に浮かびます。
ぎょうさんのご近所さんとなんでもない
お喋りしながら、毎日、買い物ができて、
ご近所さんみんなに、育ててもろてて
プラスチックごみの分別もいらへん
昭和いうのは、ええ時代やったなぁ~と
当時は、ふつうでわからへんかったけれど
今、しみじみと、そう思います。
今よりもうんと不便かもしれへんけれど、
ひとが幸せでいられるのに必要な
すべてが、そこには、あったように、思います。(*^^*)
