院試総括 | 刹那に輝く

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ガチ恋ヲタクの軌跡

 

毎日実験、論文、進捗報告を繰り返していただけなのに、どうやらもうすぐ2020年が終わってしまうらしいです。

2020年、一年間何をしていたかと聞かれると、半分くらいは院試勉強に費やしていた気がします。

 

と言うわけで、院試総括を書き残しておこう。

 

ゆーて、院試の情報って少ないし、これから院試受ける人の参考になればいいなと思います。

 

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・ 誰に向けてか

 

隙あらば自分語りをすると、私は京都大学農学部森林科学科に所属する学部4回生です。(2020年現在)
大学院は同研究科の食品生物科学専攻に進学することになりました。要するに、院での転専攻です。
森林から食品に行くのは私だけなので、特定は余裕かと思います。しないでください。
 
私が院試を受ける時、専攻を変えての院試受験に関する情報が全然見つからず苦労したので、私と同じように他専攻を志す人が読めば役に立つかもしれないし、立たないかもしれない情報を残しておこうかなと思います。
また、私は院試直前期、不安で不安でメンタルが死に、夜な夜な「院試 不合格 その後の人生」などとネット記事を検索していたので、同じような境遇の院試受験生にとって、少しは気休めになってくれればいいなと思います。
 
ただ、院試の情報というのは、同じ大学、同じ学部でも専攻が変われば全然役に立たないことが多いです。参考までに見る分にはいいのかもしれませんが、出題範囲や勉強の仕方なども異なるので、当記事は京都大学農学研究科食品生物科学専攻をそれ以外の学科から受ける人向けだと思われた方がいいかもしれません。
 
 

・ 筆者について

 
筆者は、高校が関西の(自称)進学校だったため、とりあえず京都大学行っとけば就職困らんやろー的なノリで大学を決めました。
私が大学受験で森林科学科を受けたのは、学部の中でも偏差値が低いからです。
 
もとい、
現役生の頃は学科名が格好いいという理由で応用生命科学科を受験して爆死、その後、浪人時代に勉強が嫌で鬱になっていたところ、風の噂で森林科学科は楽に卒業できると聞いたからです。
これは実際そうで、授業に出席して試験前に多少勉強さえしていれば、専門科目はほぼAで単位が取れたので間違いないと思います。実験もコマ数が少ないので、実生活にも全く支障が出ないホワイト学科です。
それと、昔から家の庭の手入れが好きだったので、造園や緑化にも多少興味があったからですね。
 
では、なぜ転専攻しようと思ったのか。
逆にホワイトすぎて、「このままこの学科にいると、理系として何もできない人間になってしまう」と思ったからです。
 
森林科学科は、2回生の前期で「森林基礎科学」なる専門基礎科目(ほぼ概論)がようやく終了し、2回生の後期でやっと専門科目が始まります。専門科目と言っても、それぞれの研究室の概論のようなもので、全く難しくないです。試験も論述ばっかりだし。
同じ農学部の応用生命科学科なんかでは、2回生の後期になるとヴォ―ト生化学や、ボルハルトショアー有機化学が一通り終わる時期です。
 
森林科学科の研究室にはフィールド系もマテリアル系もあり、物理、化学、生物、いろんな人がいるので、このようなゆとりカリキュラムは仕方がないのかもしれませんが、2年間過ごしても、何か勉強した感が全くありませんでした。
学科が違うとはいえ、同級生との知識差がありすぎて悲しくなりました。
 
せっかく京都大学に来たのに、他の学科と比べて自分は何も学んでいない。
そう思うと、この先の人生が心配で心配で抜け出すことにしました。
 
転学先は決まっていませんでしたが、どこかしらに移ると決心したのは、2回生の終わり頃ですかね。
学部の間の転学科もすることはできたのですが、この頃には既に上回配当科目履修などで174単位(卒業要件は144単位)持っていたので、他学科で単位を取り直すのが面倒でやめました。
 
 
・ 受験先の決定
 
農学研究科に限ったことではないですが、院試を受けるにあたってまず決めなければいけないのは、どこの研究室を受験するかです。
 
院試は学部入試と異なり、専攻ごとではなく、研究室ごとに募集されます。
従って、早めに受験候補を考えて、そこの教授と研究テーマや興味関心のミスマッチがないか、事前に相談する必要があります。(事前相談なしでいきなり受験する人もいるようですが、せっかく院で2年間過ごすのでちゃんと決めた方がいいと思います。)
 
ただ、正直学部生程度の知識では研究室でどんなことをやっているのか、全く理解できないと思います。
やっている内容は分かっても、具体的にどんな実験装置を使って、どのようにデータを取るのか、などイメージできないことが多いでしょう。
 
そこで、私は気になる研究室の教授の講義を片っ端から履修することにしました。少なくともその先生がどんな人なのかわかるし、講義内で多少なりとも研究内容について話す教授もいるので、研究室を選ぶ一つの目安になると思います。
 
私は漠然と有機合成がやりたいと思っていたので、2回生から応用生命、食品生物、工業化学、薬学部、理学部化学系などの、気になる研究室の教授が開講している講義を履修しました。
結局、学部を越えて院試を受験するのはさすがに勉強することが多すぎて不安だったのと、単に面倒だったのでやめましたが()
 
あとは、京都大学で言えば毎年夏に時計台で開催されるアカデミック・デイなどに参加してみるのもいいかと思います。様々な学部の教授がポスター発表しているので、自分の学部と全く関係ない分野に興味を持ついい機会になると思います。
 
農学部だけで言えば、毎年2月に院試説明会があるので、他専攻で気になる研究室があれば、2回生の頃から参加してみるのもいいかと思います。
 
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受験したい研究室が決まれば、その研究室の教授に連絡を取り、訪問させてもらいましょう。
基本的にその研究室のホームページなどにメールアドレスが記載されているので、そこに送ればいいです。
文面などはネットの海にサンプルが山ほどあるので割愛します。
 
基本的にどこの教授も自分のテーマに関心のある学生はウェルカムだと思いますので、快く対応してくれると思います。
逆に、ここで渋られるようでは院試を受けても落とされたり、性格が合わなかったりすると思うので、絶対に一度はコンタクトを取るべきだと思います。
 
その時に、研究テーマや実験設備の見学については勿論ですが、コアタイムや実質的な拘束時間、学会発表の有無、修士の論文投稿数、学振採択数、就職活動に割ける時間など、気になることはすべて聞いておいた方がいいでしょう。
 
 
双方に問題がなければ、あとは院試に向けて勉強するのみです。
 
 
・ 院試の対策
 
おそらく、こんな弱小ブログ記事を読んでいる人は、一体いつ頃からどのくらい勉強すれば合格できるのか、と言うことが気になるのだと思います。
 
院試の勉強時間には色んな説がありますよね。
1ヶ月程度で大丈夫だと言う人もいるし、一年くらい準備が必要だと言う人もいるし。
院試直前期に合格できるか不安になって色々検索していると、自分の勉強時間では明らかに足りていないのではないかと思って不安になったりしますよね。
 
でも、それに関しては、その人自身が大学生の間にどれだけ勉強したか次第だと思います。
各人の勉強効率もありますからね。
 
4回生で所属している研究室でそのまま院に行くのであれば、学部時代の定期試験などの知識が全部使えるので1ヶ月程度勉強すれば全然足りると思います。
専攻は違うけど、大まかなバックグラウンドが同じ分野に行くという場合でも数ヶ月勉強すれば大丈夫でしょう。
逆に、これまでとは分野が全く異なる他専攻、自専攻と受験科目がほとんど被っていない専攻を受けるのであれば、年単位でそれなりにしっかりと対策する必要があると思います。
 
なので、一概にどれだけの期間勉強すべきだということは言えません。
院試を目の前にして不安な人は、自分のやってきた勉強を信じて、あまりネット記事に踊らされずに最後まで頑張ってもらえればいいんじゃないかと思います。
 
 
参考までに私がどれだけ勉強したのか、について記しておこうと思います。
 
あ、もしも森林科学専攻を内部から受験するのであれば、学部の単位を真面目に取ってきた人なら2週間ほど集中して勉強すれば余裕だと思います。これはマジ。
英語は知らん。
 
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前提として、私は3回生の終わりまでに食品生物科学科の実験以外の配当科目を8割くらい取りました。
もちろん、全部が全部をちゃんと勉強したわけではなく、食品化学とか栄養化学とか雑に単位だけ取ってたので、内部生と比べると知識差は歴然としていると思いますが、専門にするつもりだった有機化学は割とガチで、院試で受験する予定だった物理化学、生化学関連の科目も少なくともB評価以上で単位が取れる程度には勉強していました。
なので、外部受験と言えども最低限基礎的な知識は身に付いていたと思います。
 
 
それを踏まえて、まず第一に言うべきことは、英語をやっておけ、と言うことです。
 
英語は主に足切りに使われるので、どれだけ専門科目を頑張っていても英語ができなければ問答無用で落とされます。
私の同級生でも英語の足切りで留年が確定した人が数人いました。
 
専門科目はいずれ院試に必要という意識が少なからずあるので勉強するのですが、英語は下手すると1回生の必修の授業以来アルファベットすら目にしていないということが起こりかねません。(まぁ、私がそうなのですが)
大学受験をピークに語彙力をはじめとして、英語力が下がり切っている人も多いと思います。
 
普通に大学生活を過ごしていると、院試を意識し始めるのは3回生の終わり頃だと思いますが、そこから夏までに卒論の実験やゼミと並行して英語の勉強をする時間はマジでないです。
 
 
農学研究科に関して言うと、去年まで京都大学学部入試と同じような英文和訳のみの独自入試だったのですが、今年から急にTOFELを導入すると言い出しました。。。もーね、あほかと。
学部受験で和訳と英作しか出題していないのに、突然スピーキングやリスニング能力を要求されても無理なんですよね。
院試、もしくは受験免除要件にTOEFLやTOEICが必要な院試は多いと思います。
なので、1,2回生の間から少しでも英語、特にすぐには伸びにくいリスニングをやっておくと、心に大きな余裕を持てると思います。
 
私は3回生の11月頃に、教授から来年はTOEFLになるよと聞かされ、慌てて対策を始めました。
とはいえ、11月~2月頃までは学部の授業とか実験が忙しくて、単語の復習くらいしかやっていなかったので、がっつりTOEFL対策をしたのは4回生の3~5月ですね。ですが、この3か月程度は、研究室での実験の時間以外はずっと英語をやっていました。足切られたら院試もクソもないですからね。
(筆者が英弱なだけという説は大いにあるが。)
 
というわけで、英語だけはマジで早めにやっておいた方がいいです。
私がTOEFL対策で使った参考書とかが知りたければ、別の記事に書いてあります。
 
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次に専門科目ですが、受ける研究室がある程度決まれば、その学科が開講している院試科目に関連する科目をできるだけ履修しておいた方がいいです。
勿論、独学でも対応はできるとは思いますが、講義内での演習問題や期末試験の問題と近い問題が院試に出ることも多いので受講しておいて損はないと思います。ただ、4回生になると卒論が途端に忙しくなるので、受けるなら3回生が終わるまでにしておいた方がいいですね。
 
院試は内部生圧倒的有利です。内部生に近い環境で、内部生と同じ教科書で勉強するのが近道だと思います。
 
で、試験範囲は公開されている通りこのような感じ。
 
 
もーね、あほかと。
これ、去年までは専門科目(2)が6領域から2問題を出題、自由に4問選択だったんですよ。
それが今年から英語問題2問必答、しかも自分が受験する予定じゃなかった微生物、栄養、食品科学、、、
不利すぎん?
 
この入試形式を初めて知ったのが2月の院試説明会の時ですが、マジで受験するのやめようかと思いました。
でも、どうしても行きたい研究室だったので頑張ることにしました。
 
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英語含めて、専門科目を本腰入れて勉強した期間はTOEFLが終わった5月末から2か月半くらいですね。
7月中旬からは1ヶ月弱は院試休みがあったので、毎日10時間くらいは勉強していました。
 
勉強を始めるにあたってまずやったのは、過去問をチラッと見ることです。
チラッと見てもわかる問題はわかるし、分からない問題は分からないので、自分の学力の把握くらいはできます。
 
で、見たところ、、、全然わからん、、、
いや、わかってはいるけど忘れてるやつが多すぎる、、、
 
ということで、5月末から7月終盤まではひたすら教科書を読み直していました。
マクマリー有機化学、ホートン生化学、アトキンス物理化学を試験範囲全ページ読み直して、知識を詰め込みなおしました。
 
有機化学はともかく、生化学、物理化学は普段全然やってなかったので、自分でまとめノートを作って、ほぼ一から知識を詰め直しました。
普段勉強するとき自分でノートとか作らないのですが、生化学に関しては本当に範囲が広かったので、自分で暗記用にまとめたやつ以外は捨てると決めてやりました。(そうでもしないと無理)
 
それから関連する授業の期末試験やレポート課題の問題を全部復習しました。
 
また、専門(2)の英語に向けて、栄養化学の教科書(英語)を読んだり、過去問で出題されている事項について勉強しつつその英単語を詰め込んだりもしました。
 
ここまでで7月中旬くらい。
それから過去問に取り掛かりました。
 
院試説明会で聞いたところ、専門(2)の英語はどうやら去年までの独自試験のような形式+若干の専門知識の必要な問題との事だったので、過去問の中から関係ありそうな題材のものだけ毎日2問ずつ解きつつ、専門科目も私費留学生向け→専門(1)→専門(2)の順に進めていきました。
 
教科書を一通りしっかり勉強しなおすと、有機化学はほとんど食品有機化学の授業でやったような問題ばかりだったので軽々と解けるようになりました。
物理化学も得意ではないけど、専門(1)はそんなに難しくないので、まぁ何が出ても誘導に乗れば解けるくらいにはなりました。
 
専門科目で一番の鬼門は生化学でしたね。
まず、専門(1)ですが、普通にホートンに載ってないことが出題されやがる。()
特に細胞関連の事は、ホートンの後ろの方には載ってるけど授業では扱わない部分なので困りました。
 
というわけで、7月末になってEssential細胞生物学を買いました。()
もーね、あほかと。
生化学は過去問解きつつ、足りない知識は適宜補いながら勉強を進めました。
 
専門(2)の方は結構ホートンに忠実に出題されていたので、しっかりホートン生化学を勉強すれば得点できると思いました。
 
そんな感じで院試の1週間前くらいまでかかって過去問を全部処理しました。
 
結局、院試勉強としては指定教科書の見直し、授業内容の復習(正直あんまりやる意味、、、)、院試の過去問しかやっていませんでしたが、直前にやった昨年度の過去問は初見でほぼ全問難無く解けたので、そのくらい勉強しておけばいいのだと思います。
 
 
試験本番では専門(1)は8割弱、専門(2)は得意なはずの有機化学で事故ったけど7割ちょい取れました。
 
専門英語も、僕みたいな英語弱者でもそれなりに点が取れたので、無難に英語ができる人なら対応できるんじゃないかと思います。
タンパク質栄養失調のマラスムスとかクワシオルコルをノーヒントで説明させたのは本当に許せないですけどね()まぁ、こればっかりは運なので仕方がないです。。。
 
今年から傾向が変わって、専門(1)が結構難しく、細かいところまで問うように作られていたと感じたので、これから勉強する人は教科書の隅々まで勉強してあげるといいと思います。
iPS細胞を作るのに使った遺伝子とかマジで知らんし()
 
 
・鬱病対策
 
こんなブログを見つけて、ここまで読んでいるような人は、おそらく院試が本当に不安で仕方がないんだと思います。
 
院試に落ちたら就活してないし、留年しなくちゃいけないかもしれないし、とか考えて鬱々していることだと思います。
 
でも、たぶん大丈夫です。
根拠はないですが、院試に向けてしっかり対策して勉強している人で落ちた人はいませんでした。
京都大学の学生であれば、専攻を変えたとしてもしっかり対策すれば大丈夫だと思います。
 
他大からの受験者が多いとか、倍率が厳しいとか、気にしなくてもいいと思います。
ちゃんと勉強していれば受かります。
 
何より、院試直前期の自分に言ってあげたい。
普通に勉強していれば大丈夫だから、心配せずに頑張れと。
 
なので、院試に向けて今頑張っている人は、自分の学力を信じて、心残りがないように勉強してください。
きっと大丈夫です。
 
すぐそこに楽しい(?)ラボ畜人生が待ってるぞ!