休職中の方のカウンセリング、復職支援も行なっています。

 

先日は、復職が少し見えてきた方で、「いつなら戻れるか迷っている」というご相談でした。

 

復職する場合は、数週間〜1ヶ月前には復帰の日程を決める必要があるので、年内に戻るのであればそろそろ職場との調整が必要となります。

 

 

ご自身の体調としては、まだフルタイムに耐えられるほどではありません。

数時間の外出ができるようになってきたくらい。

それでも、休んでいることへの罪悪感や、働いていない自分を劣等視する気持ち、収入の不安などがあり、すぐにでも復帰するべきなのではないかと考えているご様子でした。

 
病気による休職ですから、罪悪感や劣等感を持つ必要はないのですが、メンタルダウンによる休職の場合は、「休ませてもらえているありがたさ」よりも「迷惑をかけている申し訳なさ」の方が強く感じられます。
不安や罪悪感を軽くするための糸口をお伝えしたあと、収入の不安については実際の数字を計算しました。
 
 
心の悩み、人生の悩みには、お金の問題もつきものです。
どんなステージでも出会う悩みだからこそ、「不安ですよね」で止めるのではなく、「実際にどの程度深刻なのか」をご本人と一緒に数値化しながら考えてこその支援だと思い、ファイナンシャルプランナー2級の資格を取得しました。
 
 
今回の方は、「時短勤務にしてでも復帰した方が、会社にかけている迷惑を軽減できるのではないか。収入の面からも早く復帰したほうがいいのではないか」と考えていらっしゃったので、
・休職させてもらっている期間の傷病手当金
・時短勤務で復帰した場合の給料
・時短→フルタイムと変化した場合の給料
の3パターンを試算してみました。
 
 
個人情報なので「のり弁」状態ですが、イメージとして掲載します。
 
 
このような形で、実際の収入、控除されている金額、傷病手当として受け取る金額をもとに、3パターンの生活費を計算してみたところ、時短勤務で半日だけ出勤した場合、1ヶ月丸々お休みをいただいた場合よりも手取り額が少ないことがわかりました。
(有給の残日数によっても、ここは変動しそうです)
 
 
「まだあまり体調が良くない状態で、迷惑を少しでも減らすために・・・と頑張って出勤して、心身ともに疲れているにも関わらず、平常時よりも休職時よりも少ない手取り額だったとしたら、なんのために働いているのかわからなくなってしまう。自己犠牲しながら働いている思いが強くなってしまう」
 
ということに気づかれ、「無理にでも急いで復帰しなければならない」という思いを一旦横に置くことができたようです。
 
 
 
これは、休職を勧めるものでも、休職期間を延長させるためのものでもありません。
 
ご本人が「自分が元気に復帰するためのリハビリとして時短勤務が必要で、その経験をさせてもらっているのだから手取りが少なくても納得できる」と思えるタイミングかどうかを見定めるための方法です。
 
 
焦りや申し訳なさがあるときは、「数時間でも出社して、迷惑をかけた分を返上しなければ」と考えがちですが、復帰を受け入れる側からすれば、「”元のように元気になった状態で”1日も早く戻ってきてほしい」のであり、病気を押してでも出社してほしいわけではありません。
 
 
お金の不安があって休職を焦る気持ちがある場合は、一度、「戻ってみた場合どうなるのか」を考えてみるのもいいですね。