● 「レプリコン」ワクチン(自己増殖型mRNAワクチン)とは何か?

 

レプリコン(repricon)とは、簡単に言えば、完全なウイルス粒子の産性能がなく、自己複製能力を持ったウイルスゲノムのことを言います。

すなわち、レプリコンから感染性のあるウイルスそのものが産生されることはないけれども、そのウイルス由来の遺伝子が複製され増幅されるということです。

そして、今話題になっている「レプリコンワクチン」とは、上述した「レプリコン」がワクチン中に含まれる設計になっています(目的とするウイルスゲノムはRNAとして含有される)。

 

今回のワクチン接種によってレプリコンが接種部位近辺の細胞に導入されると、その細胞内で感染性のあるウイルス粒子が産生されることはありませんが、目的とするウイルスゲノム(RNA)が複製され増幅していきます。そして、目的とするウイルスタンパクが細胞内で翻訳され蓄積していく仕組みになっています。

ウイルスそのものではないが、ウイルスゲノム(今回のワクチンの場合はmRNA)が自己増殖していく。

 

これが「レプリコンワクチン」が「自己増殖型RNAワクチン」と言われている所以です。つまり、レプリコンワクチンは自己増殖型RNA(saRNA)ワクチンの一形態であるということが言えます。

 

これらsaRNAワクチンは、実はすでにインドで世界初承認(緊急承認)されており、他のsaRNAワクチンに関する治験も、現在では韓国(QTP104試験)やブラジル・米国(HDT-301試験)でも行われており、今後世界中で承認されていく可能性が高いと思われます。(抜粋おわり)