イスラエル、国連調査同意 ガザ北部に住民帰還計画

 

 

配信 共同通信

 

ブリンケン米国務長官は9日、訪問先のイスラエルでネタニアフ首相と会談後に記者会見し、パレスチナ自治区ガザ北部への住民帰還に向けて国連が調査団を送る計画に、イスラエル側が同意したと明らかにした。

 

帰還は容易ではないと認めつつ、調査団によるプロセスの開始に期待感を示した。 

 

イスラム組織ハマスとの戦闘の困難さに理解を示す一方、日々犠牲になる民間人が「あまりにも多すぎる」と指摘した。

 

人道危機の深刻化に強い懸念を表明し、ガザへの食料、水、医療品といった支援物資の搬入拡大の必要性を強調した。

 

イスラエル軍はガザ北部の制圧地域を拡大、現在は中部や南部の作戦に集中している。ブリンケン氏は、軍の作戦はガザ北部で「縮小する段階」に移行したと指摘した。

 

その上で「住民ができる限り速やかに北部に帰還できるようにしなければならない」と述べた。

(抜粋おわり)

 

 

そのうえで、ブリンケン氏は、住民をガザ域外に再定住させるようないかなる提案についても「明確に拒否する」とネタニヤフ氏に伝えたと言っている。これはある意味現在噂されているガザ地区住人をガザでない別場所に移動して国を作ってもらうというネタニヤス氏の構想事態を砕くものであり、同意してもらわない限り米国は支援しないというニュアンスを示唆しているのだろうか。

 

イスラエル支援とガザ民間人の苦しみの制限のバランスを取ろうとするブリンケン国務長官は、ガザの人々を守り、援助を増やす必要性を強調したという。「ガザ地区の民間人に対する被害額が、余りに多すぎる。」とイスラエル・リンカーン大統領やネタニヤフ首相に警告したとか…。

 

4回目の西アジア各国訪問の一番最後にイスラエルを訪問したということは、近隣イスラム諸国の無言の圧力を背負って、暗黙裡にイスラエルに同意を強要しているという含みもあるのだろうか。「これ以上戦局が拡大すれば、どれだけ犠牲が出ることか…」という論理だてにしたとしても、最初イスラエルのいく手を全面支持していて今になって戦局が拡大して国際問題になるのは困るというのは、国際的評判を気にする米国大統領の思惑なのか…。

 

こんな迷走を繰り返すなら、最初から拒否権など行使しなければよかったものを…。プロセスも結果も、幼稚に見えてしまう。とはいえ、ガザの人々が飲み水もなく、無論食料もなく飢えに苦しんでいる実態は何度もメディアでは発信され、人道的にそれを見殺しにはできないという国際的世論もあり、それは当然の感情だろう。それゆえ米国も「いい人」に見えるような演出もしなくてはならないのだろう。大統領選挙もあるし…。

 

けれど、ハマスのテロの火種を完全に消し去れずに、またネバーエンディングの憎悪の連関は続くのだろうという憶測も成り立つはず…。自国民まで己の盾に使うハマスという組織(それ自体が宗教的教義だとすれば、もはや何をいわんやの次元である)に対峙するとすれば、困難と共に一定の時間も必要だろう。

 

洗練されたイスラエル軍は、ハマスが作り上げた迷走する地下道を発見し破壊し、その軍事組織についてもかなり叩き砕いたように思えた。しかし、周辺各国のイスラム圏での抵抗にあい、時間切れでその組織の残滓を残してしまうことになる…。 そしてまたそのテロの芽は、次の世代に継承されていくのだろう。

 

このあたりの具体的詳細について、ドイツDWが考察している。添付したい。下矢印

 

 

 

 

 

2024/01/10 DW News

 

アントニー・ブリンケン米国務長官がイスラエルを訪問中。今日の初めに、彼はベンヤミン・ネタニヤフ首相と会い、戦時内閣と会談した。これはガザでの戦争激化を防ぐことを目的とした1週間の外交旅行の一環だ。

 

ブリンケン氏は、ガザ地区でのイスラエルの軍事作戦が続く中、「ガザの民間人、特に子供たちに対する毎日の戦争犠牲者はあまりにも多すぎる」と述べた。

 

ブリンケン氏はテルアビブでの記者会見で「条件が許す限り速やかにパレスチナ人の帰国を許可しなければならない」とし、米国は「ガザ外へのパレスチナ人の再定住を主張するいかなる提案も拒否する」とも主張した。

 

それでも同氏は「10月7日のハマスのテロ攻撃を二度と起こさないというイスラエルの目標を達成することが極めて重要だ」と繰り返した。

 

同氏は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がガザ人の永久追放や再定住は政府の目的ではないと確約したと付け加えた。

 

ブリンケン氏はまた、イスラエルはガザへの人道支援への「障害を取り除くために全力を尽くす」必要があるとし「我々はこの戦争ができるだけ早く終わることを望んでいる」と述べた。

 

ブリンケン氏はイスラエル指導者に対し、ガザ地区の民間人に危害を加えないよう求めた。同氏はイスラエル指導者に対し、パレスチナ国家の樹立に向けて動くよう促した。

 

ブリンケン氏はまた、現在ガザで拘束されている人質全員の解放を確保する取り組みに対する米国の支持を繰り返した。

 

(概要転載)

 

 

 

米国がパレスチナ国家との共存という、いわば絵に描いたバターン的国家感は、人種や民族性から生々しい人間の感情を無視したもので、ある意味紛争はここより始まっている感じもする。それができなかったパレスチナ自治区だったゆえ、あれ程ハマスを野放しにして暴走させてしまったのではなかろうか。

 

テロ組織ハマスやヒズボラを根幹から叩き潰しておかないと、中近東だけでなく世界中にテロが蔓延する…このままだと、周りをイスラム国に囲まれ、今後も潜在的にテロと隣り合わせの恐怖を、意識しながら暮らしていかなければならないだろう。

 

結局は大国の代理戦争の駒として、踊らされただけになってしまう…。迷走的プロセスを経て貧弱な結論が表面化するたびに、多くの人々の心の底流に虚脱感が流れる気がする。

 

 

Israel-Hamas War新情報