一部文字起こし

 

習近平氏は何を企んでいるのか?キューバから、米国の機密を中国共産党が盗聴

 
2023年6月23日  中国見聞
 
最近、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の独占報道によると、キューバ政府は国内に中国の電子盗聴施設を設置することに合意したと、米政府関係者が明らかにしました。 
 
報道によると、中国共産党は数十億ドルを支払ってキューバ当局の許可を得ており、双方はある程度の合意に達しているといいます。キューバはアメリカのフロリダ州の海岸から、約100マイル離れています。
 
中国にとって、ここに盗聴機器を設置すれば、アメリカ南東部にある数十の米軍基地商業その他の通信を盗聴できます。アメリカ中央軍とアメリカ特殊作戦司令部は、ともにフロリダ州タンバに本部があり、米軍南部司令部はマイアミにあります。
 
ホワイトハウスと国防総省の両者は、この報道を不正確なものとして否定しましたが、詳細には言及しませんでした。しかし6月10日に発表したホワイトハウスの声明では、中国は少なくとも2019年からキューバにスパイ基地を置いており、北京は情報収集を世界的に拡大しているという新たに機密解除された情報に基づいている内容でした。

 

ホワイトハウスが発表した新たな声明は「新たに発生したことではなく、以前から進行中の問題であり、報告書に記載された取り決めは我々の理解とは一致しない」と述べています。

 

2021年1月にバイデン政権が発足した際、当局は大西洋・中南米・中東・中央アジア・アフリカ・インド太平洋地域でのプロジェクトを含む中国共産党が、世界的な軍事および情報プレゼンスを拡大する取り組みについて「説明を受けた」と声明は述べています。

 

声明は「キューバの情報収集施設は2019年にアップグレードされており、アメリカはキューバおよび世界における中国共産党政府の行動を減速させるために、外交的及びその他の措置を講じてきた」とも述べています。

 

下院情報委員会の共和党委員長であるマイケル・ターナー下院議員は、ツイートでキューバ情勢の変化に関するホワイトハウスの発言を批判しました。「中国共産党がアメリカを盗聴している可能性について、バイデン政権当局者は48時間足らずの間に矛盾した発言を繰り返している。これは容認できない。」

 

上院情報委員会の委員長であるマーク・ワーナー上院議員と副委員長のマルコール上院議員は共同声明を発表し、中国とキューバが共同でアメリカを狙っているという報道に不安を感じるとしました。

 

中国共産党がキューバにスパイ基地を設置すれば、アメリカの陸海空軍だけでなく共産党が最近アメリカとの覇権争いを強め、新たな戦場となっているアメリカの宇宙軍をも監視できます。中国共産党がキューバにスパイ基地を設置する費用が数十億ドルかかることから、これは非常に大掛かりなプロジェクトなのでしょう。

 

中国共産党は大規模で高性能な電子監視施設だけではなく、米軍のベイブボーズに似たスーパーレーダー基地を設置する可能性が考えられます。ペイプポーズは最大探知距離5000km、有効探知距離3000kmを誇っています。一方、中国共産党は最大探知4000kmのレーダーを作ることができます。

 

米軍最大の基地であるポートリバティは、キューバから約1500km離れており、フロリダ州のケーブカナベラル宇宙軍基地は、キューバからわずか600kmあまりの距離にあるためいずれも中国の探知距離範囲内です。中国共産党のレーダーは、米軍の配備や作戦に大きな脅威となり得ます。

 

中国がモンゴルから東風41号を発射したと仮定すると、ニューヨークまでの飛行時間は21分であり、アメリカにはミサイルを迎撃したりその他の不足の事態に対応する時間があります。しかし、アメリカの裏庭であるキューバからミサイルを発射すれば、アメリカにとって、たちまち非常に高いレベルの脅威となるでしょう。

 

キューバにミサイルが配備されるという話はまだ出ていませんが、中国共産党がキューバにこのスパイ基地を作れば、ミサイル基地などに転用する可能性も否定できません。高度な軍事情報能力を持つ中国共産党の基地が、これほど近くに建設されることは、アメリカにとって前例のない新たな脅威となるのです。

 

(中略)

 

では、なぜ習近平氏はこのような危険な行動に出たのでしょうか。キューバにスパイ基地を設置することは、今年2月のスパイ気球によるアメリカ領空侵犯よりはるかに深刻です。中国共産党は気球が強風でアメリカに飛ばされたと説明ができましたが、今回、米軍の監視と情報収集するためという以外に説明がつかないのです。

 

これは習近平氏がアメリカとの対決をエスカレートさせたことを示唆しています。習近平氏は、バイデン政権が穏健になり思い切った行動を取らないことにかけています。

 

習近平氏は6月7日から8日にかけて内モンゴル自治区を視察し、「極端な状況下でも中国経済が正常に機能できるように国内の循環を構築したい」と述べました。その極端な状況とは何でしょうか。

 

中国共産党は、最近外資や対外貿易を安定させるための応急処置として、ウォール街や多国籍企業の幹部を中国に招き、アメリカや欧米との最終的な対決に向けた経済技術の準備を進めています。つまり、いざ戦争となることに向けた準備です。

 

同時にバイデン政権は、中国共産党とより頻繁に接触するようになりました。もともと2023年2月に訪中予定だったブリンケン国防長官は、中国のスパイ気球事件で訪中を6月に延期しました。

 

ブリンケン長官は「今回の訪問で私は繰り返し提起してきた。絶対に欠かすことのできないもので、軍と軍が意思疎通をすることが重要だ。その必要性は最近の空と海で起きた事案により明確になったと思う。しかし、現時点で中国はこの議論を前に進めることには同意していない」と述べました。

 

ブリンケン長官は、数週間のうちに中国の高官がアメリカを訪問することを見込んでいます。今回の会談で中国とアメリカの関係に、どのような変化をもたらすか引き続き注目していきたいと思います。

(一部文字起こしおわり)

 

 

 

 

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