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爆撃機など22機など中露共同飛行、日本威嚇の背景

2023/06/08 夕刊フジ
 

沖縄本島周辺などで7日、中国とロシアの爆撃機や戦闘機など計22機が共同飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して対応した。防衛省によると共同飛行は2日連続で一度に確認された機体の数としては異例の多さだという。

 

中国軍機や艦船は、最近台湾海峡や南シナ海で米軍機や艦船に異常接近している。ロシアは、ウクライナの反転攻勢を受けている。中露とも日米など自由主義国と対峙しており、連携を強めている。

 

日本政府は、外交ルートを通じて両国に重大な懸念を伝達したが、日本に対する異様な恣意行動は今後も続きそうだ。

 

岸田文雄政権は安全保障上の危機乗り越えられるのか

 

防衛省によると、中国の爆撃機H62機とロシアの爆撃機TU952機が、7日午前、中国方面から飛来した。沖縄本島と宮古島との間を通過して太平洋に進出するなど、長距離にわたる共同飛行の間、中国軍やロシア軍と見られる戦闘機など計18機と合流した。一度に確認された機体数としては、異例の多さだという。

 

航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させて対応した。領空侵犯はなかった。中露爆撃機の共同飛行は前日も確認された。防衛省によると、中国の爆撃機H62機は6日午前、日本海上空でロシアの爆撃機TU952機と合流した。後東シナ海まで共同飛行を行った。

 

途中、東シナ海上空で中国戦闘機とみられる2機と合流した。空自は、戦闘機を緊急発進させた。中国国防省は7日、ロシア軍と合同パトロールを実施したと発表したが、松野博一官房長官は、同日の記者会見で「我が国に対する恣意行為を明確に意図したものだ」といい「深刻な懸念を伝えた」と語った。

 

今回の共同飛行をどう見るか

 

軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「中国は台湾に対する圧力を強め、米国と対峙している。ロシアはウクライナの反転攻勢を強く懸念し、米国など自由主義諸国の動向を警戒している。中露の利害は一致し、世界で孤立しないよう関係をさらに深めている。共同飛行にも、意図を込めているはずだ」と分析する。

 

どういうことか。今回中露の爆撃機4機は、沖縄本島と宮古島との間を通過して太平洋に出て、再び東シナ海へ戻った。

 

世羅氏は「爆撃機が飛行したルートは、台湾有事を想定したものだ。過去にも、同様の飛行経路をたどったケースがあるが、改めて意思を示したのだろう。ロシアも米国などを念頭にした恣意行動を狙ったとみられる。ウクライナを巡る牽制なら、NATO北大西洋条約機構にプレッシャーをかけるべきだが直接的すぎる。日本は口頭での抗議にとどまるため、恣意行動の対象として格好の相手だ。」と指摘する。

 

最近、中国軍による米軍への挑発的行為が続発している。台湾海峡では3日

米海軍のミサイル駆逐艦に中国軍艦艇が約140mまで異常接近した。先月末にも、米軍偵察機を中国軍戦闘機が横切って飛行を妨害した。

 

米国が衝突寸前の危険飛行について抗議すると、中国は「米国は挑発的で危険な行為を直ちにやめるべきだ」と逆ギレした。シンガポールで開かれたアジア安全保障会議に合わせた米中国防省会談も実現しなかった。こうした中で「中露にとってはつけ入る隙がある相手」と世良氏が語るように、日本がターゲットになっているのだ。

 

元陸上自衛隊中部方面総監の山下広隆氏は「中露で対日圧力をかける政治的なメッセージだろう。中国は、NATO東京事務所開設の議論に釘を刺したい考えもあるだろう。日本はウクライナを支援し、ロシアに経済制裁をかけている。今回の飛行コースは、中国海軍が太平洋に進出する際の防空体制を想定したものではないか。対米の視点では、グアムなどにある米軍基地の爆撃などを想定したものと見ることもできる」と語る。

 

今後中露が連携した軍事活動は、どのような展開を見せるのか

 

山下氏は「中露共同の軍事行動は、常態化すると見ていい。もし台湾有事が発生すれば、ロシア軍は中国の動きを見ながら極東を管轄する東部管区を北海道周辺で動かし、米軍や自衛隊を牽制する作戦をとる可能性もある。そうなれば、南西諸島のさらなる防空体制強化も必要になる。中露の行動は領空侵犯をはじめ、偶発的な有事に発展することもありうる。日本は緊張感が足りない。中露の単なる訓練やパトロールと捉えず、状況に応じて国家安全保障会議NSCを開くなど、有事を想定して危機意識を高めていくべきだ」と語った。(文字起こし終わり)

 


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