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私は乙女椿が好き!
寒風の中、乙女椿の蕾は緑色をしたまままだ堅く花が咲く気配はありません。でも、3月の中旬頃、乙女椿は薄ピンクの花を咲かせるでしょう。その間、2ヶ月以上、硬い蕾のなかで、椿の花は何考えているのでしょう。
東京にいた時、学生時代の知人の家を訪ねた時、乙女椿がきれいだったのでそれ褒めると「持って行く?」と言われ、花
束にしてくれました。「挿し木すると根がつくわよ!」とも教えてもらいそのとおり咲き終わった枝を土に挿したところ、毎年毎年ピンクの可憐な花を咲かせてくれたものでした。
乙女椿は普通の椿と違って、千重(せんえ)咲きといって花びらの重なりが多いため、雄しべが花芯に見当たりません。ユキツバキは日本海側の多雪地帯に分布する椿で、ちゃんと花芯がある種類ですが、乙女椿は花芯がないのです。その分何となく清楚な雰囲気の乙女のようなイメージを抱かせます。薄ピンクの花びらが八重仕立てに重なり、バラの花のようにさえ見えます。
乙女椿の名の由来は、特に明確な答がないようですが、ユキツバキから生まれたと思われています。乙女椿には雄しべと雌しべが見えません、花弁を取っていくと最後に芯が有るのみです。そのせいか実をつけません。それゆえにか、その雰囲気を表して乙女椿という名前になったのでしょうか。
咲く時は次々と咲いて、散るときははらはらと散ったりせず頭ごとぽとりと落下します。一般に椿は趣の点ではらはら散る風雅な桜に劣るようで、野趣の趣のせいかその好き嫌いは若干偏っているかも知れません。その唐突な散り方が不吉だと嫌う人もいるようですし、特にこの散り方を昔の武士は嫌ったようです。
椿は、全体に香りも余りたたないと言われます。そうした意味では、あまり色っぽい花ではないのかもしれません。しかし見方変えると、見かけの可憐さに比べ散り方もどこか潔いというか男性的な感じがします。あれ程、蕾から花として開花するのに長い時間を費やしているのに、実もつくらず惜しげもなく散ってしまう椿の在り方…よく考えると、乙女椿は何のため咲くのでしょうか。子孫を増やすのは挿し木で増やせるのだから、花など咲くことなどないでしょうに…。とりあえず、ミステリアスな花です。
一般に、椿に似た花として山茶花があります。似ているようですが葉が違うと言われます。椿はワックスを塗ったようにツヤがありますが、山茶花の葉はツヤがなく、またその葉も小振りです。開花時期は山茶花は10~2月に咲きますが、椿は12~4月に開花。真冬の季節に咲き始め春先まで咲き、花のない季節に、あでやかな色で見る人の眼を楽しませてくれます。
私の近所に、山茶花を垣根に植樹されているお宅があります。立派な門構えのお宅で、ぐるりと山茶花を植えています。現在開花の真っ盛りで、色は赤とショッキングピンク。あでやかで美しいのですが、次々に路上に花が落ちていきます。最初見たときは、垣根の植木として花までつける木を植えるなんて素敵だと思いましたが、掃除が大変そうではあります。
ところで、椿の花言葉は「理想の愛」「謙遜」「控えめな美点」などで何となく日本的ですね。また、椿については日本古来のもので「古事記」や「日本書記」「出雲風土記」などの古い文献などにも登場します。平安時代初期には食用や化粧品、長寿の薬としても用いられていたとか…。とても、用途の広い花です。椿油は珍重されていました。
また、遣唐使が唐への贈り物として「椿油」を持って行ったとも言われています。江戸中期には長崎からオランダを経てヨーロッパにも椿から作られた椿油が伝わっていき人気を得ました。女性の艶やかな黒髪を保つために椿油は愛されて、それは現代に至るまで続いているようです。そういう視点から見ると、椿の花とは美しいだけでなく実用的にも使い道が多様な貴重な花とも言えるようです。
<椿アラカルト>
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こちらは手描き友禅での椿の画柄です。白い線はゴム糸目
の線で、この中に色を落としていきます。ぼかしの手法が美
しく、これは手描きでないとなかなか出せない手法です。
手描き友禅の葉の色は、現実には実在しない色。グレーの
葉、グレイシュグリーンやブルーグレーなどは実際にはな
い葉の色ですが、手描き友禅の世界では存在するのです。花
の色目も、実際より優美な色彩で色づくリされています。
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こちらは、大胆な椿柄の着物。ちょっと大正ロマンのようなア
ンティークな感じです。色自体も大胆な配色ですね。髪飾りも
それに負けない大胆な大きさで、大正時代のモダンガールを
思わせます。
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こちらは椿の髪飾り。布製で赤と白のお正月になどにピッタリ
の風情。
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こちらは椿柄のお皿。赤があでやかなお皿ですが、さて
何をいれたらいいのでしょうか。飾っておくだけでアート
的気分になれそうな品です。
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こちらは椿のコロン。香らない椿が多いのですが、こちらは
香りの高い椿でつくったコロンです。椿のデザインがシンプ
ルで垢抜けていますね。
いかがでしたでしょうか。
椿って「古事記」や「日本書記」にも登場していたなんて、
椿を見ていにしえのロマンに浸れそうな感じがしてきました。
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☆ブログ更新しました。