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村中璃子氏らへの裁判への『A氏』の陳述調書・甲第24証の意味は?「なみぞう」さんのブログから


 

「なみぞう」さんのブログ「365日子宮頸がんワクチン」を読ませていただき、改めてこの子宮頸がんを巡る一連の裁判や事件にまつわる闇の深さを実感した。アドレスを貼っておきたい。
https://ameblo.jp/namizoo3/entry-12375530737.html


 

なかでも興味深いのは、なみぞうさんがリンクしている「天国に届くといいなぁ」さんのブログにリンクされている東京地方裁判所に提出されている『A氏』の陳述調書の内容である。これは、現在訴訟となっている村中璃子氏らへの裁判への陳述調書だ。甲第24証といい平成30年3月28日付となっている。『A氏』は平成14年11月から平成29年3月まで信州大学医学部教職員 (准教授、特任教授)として在籍している人物。専門は腫瘍学、新規AIDSワ クチンの開発だそうである。内容の詳細は、以下アドレスを貼っておきたい。
https://www.mamoreruinochi.com/wordpress/wp-content/uploads/docs/publication/kou24.pdf



『A氏』は、平成25年11月頃塩沢丹里教授が主宰する「信州大学医学部医学科産科婦人科教室」のセミナー室で行われたプログレスミーティングに参加し自然物質の抗腫瘍効果について発表したことをキッカケとして、その後、塩沢教授ら子宮頸がんフクチンの扇球反応について、マウスを使って実験してみないかと誘われたという。これが、同氏が池田修一教授の研究班の活動に関わることになったキッカケだそうだ。同氏は免疫学の准教授であり、産科婦人科教室の医局員でなく池田班の褒員でもなく、班会議などの池田班の集まりに参加したこともなく、その立場は塩沢教授の研究の一部を、同大学医学部産科婦人科教室の医局員とともに手伝う立場だったという。



そのため、当然のこととして、池田班の研究内容について池田教授と打ち合わせたり、データのやり取りをすることはなかったそうだ。実験結果は塩沢教授に報告し、同教授から池田教授へと報告されるという関係だったという。マ ウス実験については、塩沢教授からは、動物に子宮頸がんワクチンを打った場合に特異的な反応が出るかどうかをためしに見てもらえないかという大まかな指示があった程度だったという。ここから『A氏』の陳述調書から抜粋してみよう。


(抜粋)

私は自己免疫疾患の素因を有するNF-κBp50欠損マウスをよく知っていたことから、まずこのマウスにサーバ リックスを接種して、歩行障害や行動異常が見られるかを約1年間観察することとし、平成26年3月から始めました。しかし、優位な行動異常や歩行障害等の表現が認められなかったことから、次にサーバリックス接種により中枢神経細胞を認識する自己抗体の誘導が認められるかの検討を行いました。

(中略)

ウェッジの記事(甲1、43頁)では、ワクチンを接種したN-κBp50欠損マウスから採取した血清を正常なマウスの脳切片に振りかけたのでは、フクチン薬剤がBBB(血管脳関門)を越えることにならないと書かれていますが、私どもはフクチン薬剤がBBBを越えるかを観察する目的で本件実験を行つたのではありません。被験者が自己抗体を有しているかどうかを見るために、被験者から採取した血清を別の正常な組織と反応させて自己抗体の有無・程度を検査することは、医療機関で行われている通常の検査方法です。大江さんや村中さんとの面談でもそのことをお話ししていますし(乙7の2の反訳文28頁)私が彼らに渡した論文(甲25)でも、この検査方法でなされたことが説明されています。ところが、記事(甲1,43頁)では、私の説明が理解されなかったのか、私が全然違いますよと否定したにもかかわらず、フクチン薬斉JがBBBを越えて脳に何らかの影響を及ぼしているかが最大の争点となっていると書かれていました。


 

『A氏』の文章は専門的なので分かりにくい部分もあるが、ここで異様に見えるのは村中璃子氏や、その周辺の人物の執拗なアプローチの仕方である。この『A氏』への取材を執拗に実現しようとする何かの力が働いているかのような不自然さが感じられる。それは『A氏』を通じて池田班がしている研究の詳細内容を知り、何とかそれを恣意的にねじ曲げて潰そうという意図すら垣間見えることだ。結局ウェッジの記事において、池田教授は研究実験を捏造とまで言われ、その件で名誉毀損の裁判が開廷されているわけだが、ここまで村中璃子氏らが執拗に池田班の追い落としを図ろうと行動するその背景は、大変興味がそそられる現象である。池田班の研究を捏造として追い落としたいのは、自称医師でジャーナリストである村中氏個人だけではなかろう。


ただ、この『A氏』が気の毒なのは、限定された条件の中で行った過渡期と認識しているマウスの実験データを、池田教授がマスコミに発表をしてしまったことだ。しかも、研究発表データの説明も信州大学医学部医学科産科婦人科塩沢教授が書いた物であるにも関わらず、そのことを『A氏』は知らされていなかったという。つまり『A氏』の認識と実態が違うことから、誤解と齟齬が拡がった可能性もある。過渡的実験データを何らかの成果があったようにマスコミ発表をしてしまった池田元教授側にも、若干問題がないだろうか。成果が期待されているがゆえに、池田教授にも焦りがあったのだろうか。あるいは、予算がもっと潤沢にあれば。もう少し実験も大掛かりなものとして取り組めたのだろうか…。

 

 

『A氏』は言う。「私も産科婦人科教室の医局員も多忙のためTBSの NEWS23も見ていなかったので、どのような内容が報道されたのか具体的には知りませんでした。放送後も産科婦人科教室内でも特に話題になりませんでした。」と…。実際、塩沢氏のところにマスコミから問い合わせもなかったという。そして、平成28年3月28日 旧知の宮川剛藤田保健衛生大学総合医科学研究所システム医学研究部門教授から久しぶりにメールが届く。同氏は本件のマウス実験について尋ね、村中さんというジャーナリストが会いたいと言っている旨を伝えてきたというのだった。しかし『A氏』は責任者である塩沢教授や一緒に実験をしている医局員の了解なく話せることではないと断ったという。にもかかわらず、宮川氏は村中氏がインタビューを強く求めていると言われたようである。

 

宮川氏は本件実験のデータについて「一般の方々にかなり誤解 されて伝わっており、それが強い社会的インパクトを与えているのは間違いないようです」「プレリミナリーデータを事実であるように誇大に発表しているのに、具体的説明を求められても答えないということになってしまい、研究者コミュニティ全体にも批判がなされる」などと書かれていました (丙69、3枚目の平成28年5月12日付けメール)。平成28年5月頃、同年3月の池田班の発表について、マウス実験のことが話題になっていると信州大学内で聞いたことはなく、マスコミからの取材もありませんでしたから、宮川先生からのメール を不思議 に思いました。長年の友人である宮川先生がひどく心配してくれている様子でしたから、もし、マウス実験につて何か説明したほうがよいことがあるとすれば、実験を担当した私が説明することがよいのだろうと考えたこともあります。 しかし、医局員や塩沢先生が言うとおり、何らかの説明をする場合は、対外的に話をされた池田先生がまずお話しされるべきだと思いました。

 

 

私が取材を断るたびに、宮川先生からのメールの内容は深刻なものになっていき、ついには、次のように私の研究や私個人について、かなリネガティブな意見が集まっているようだから、村中さんのインタビューに応じないと、かなりまずい状況になるという私を脅すようなメールまで届きました。「村中先生は、先生が厚労省から発表されたマウスの研究について、僕でもよく名前を知つているような極めて著名な複数の先生方と、科学的な側面、社会的な側面の双方から詳細なディスカッションをされていらっしゃるようです。先生のご研究 (と 先生ご自身)についてかなリネガティブなご意見が集まってしまっているようで、かなり危機感を覚えました。先生がインタビューにおこたえになれば誤解は解けるのではないかと思いますが、このままではかなりまずい状況になりかねないと危惧しております。」「村中先生は国際医療福祉大学の広報窓口を通した先生へのインタビュー依頼を、複数の研究者の連名での申し込みとして検討 されているようです。おおごとになる前に、先生よりきちんとした説明・ディフェンドをされるのがよいのではないでしょうか。」(丙 69、2枚目の同年5月27日付けメール)


この頃には、村中さんが子宮頸がんフクチン接種推進派の立場で、池田班の発表内容を攻撃する記事を出していることもわかつていました。そこで、私は同年4月 から産科婦人科教室の特任教授として医局員になったこともあり、信州大学産科婦人科教室はワクチン接種に反対していないことを説明しました。それでも、宮川先生は次に村中さんが出す記事は私に関連した内容が中心になるらしいことや、「根掘り葉掘り先生の大学関連でのこともお調べになっていらっしゃって、既に国際医療大学の理事クラスともお話しをされていらっしゃるようで、たいへんな状況になっている」と私に知らせてきて (丙 69、1枚目の同年5月28日付けメール)本当に困りました。また、村中さんが、私宛ての電話で取材に応じるよう迫ることもありました。そのとき「池田先生が信州大学医学部を退職する」という、私も塩沢先生も知らない情報を村中さんが話すので、なぜ村中さんが学内でさえ公になっていない人事情報を知っているのか、信州大学内部の誰かと繋がっているのだろうかと恐怖心を抱きました。



「その後、信州大学医学部産科婦人科の前の教授で、私が大変お世話 になっており、私の指導教官である小西郁生先生 (以下「小西先生」といいます。)から、久しぶりにメールをいただきました。私は、小西先生に救いを求めたい一心で、私と塩沢先生が困っていることをお伝えしました。小西先生と電話でお話しした際、小西先生から、NF‐κBp50欠損マ ウスを用いる実験結果に研究捏造の疑惑が生じているとお聞きして、なぜ研究不正の疑惑が生じるのだろうかと驚きました。そして、研究不正の疑惑を払拭するためにNF-κBp50欠損マウスを用いた一般的な実験手法を村中さんにお話しして記事にしてもらうとよいことを小西先生から提案され、了解しました。小西先生は、塩沢先生の上司にあたる方ですから、小西先生が働めることであれば塩沢先生も了解されるはずだと考えました。その後、私が小西先生とのお話の内容を塩沢先生に伝えたところ、塩沢先生も賛同してくれました。」



こうした経緯で『A氏』は、村中氏と会うことになった。いわば、あちこっち固められて出口を選ばざるを得なかったという状況で、やむを得ず医師でジャーナリストの村中氏に会うことになったのであろう。『A氏』は説明する。


面談に応じるといっても、私はこの研究の担当者として名前が出る立場になく、塩沢先生の
依頼で医局員と一緒にマウス実験を行った立場に過ぎませんから、対外的に未発表の内容ついて詳しく説 明すべきではないと考えていました。したがって、村中さんらとお話しするとしても、池田先生が発表された内容のうちNF‐κBp50欠損マウスを使った実験の基本的な知識、例えば、NF-κBp507欠損マウスの特性や、一般的な実験手法、池田先生の発表資料の見方などについて説明すれば、研究不正がないことはわかっていただけるはずだと思いました。



本件スライドを含む池田先生の発表資料は厚労省ホームページで見て知りましたが、塩沢先生の研究部分の発表に関して使用されたスライドは、私が真正に作成した元のスライドに基づいており、改ざんも捏造もありません。本件スライド中の「沈着」という書き方は的確な表現ではないと思いましたが、事実ではないことが書かれているとは考えませんでしたし捏造とも考えませんでした。なお、この当時、私はこの説明書きを塩沢先生が書いことは知りませんでした。私がそのことを知ったのは、信州大学の本調査のときです。塩沢先生が、この説明書きは塩沢先生が書かれたことを私に直接お話しされ、私は非常に驚きました。

 

「A氏」は平成28年6月3日 お昼12時30分頃、取材場所として指定された東京駅近くのレストランでウェッジの大江氏と前述の旧知の藤田保健衛生大学総合医科学研究所システム医学研究部門教授宮川氏と、村中璃子氏とに会う。


 

面談は、昼食をとりなが ら 1時間程度、本件実験について実験に用いたマウスの数や フクチンの投与量、なぜ NF‐κBp50欠損マウスを用いたかについて、大江さん、村中さん、宮川先生との雑談のような感じで行われました。途中、旧知の知り合いである私と宮川先生 との専門的な会話になった場面もあ り、特に、医師ではない大江さんにとって、内容がわからないやりとりもあったかもしれませんが、そのような内容については、後日に宮川先生が大江さんや村中さんに説明するのだろうと思いました。村中さんが来る前に、私が本件スライド(甲5)について「沈着」ではないと述べ、池田先生がこの説明書きを書いたものと思って発言した部分があります。(乙7の2、7~8頁)。このときは、池田先生の発表資料であることから池田先生が書かれたのだろうと思っていました。また、大江さんからNEWS23の放送で池田先生がマウス実験の結果について「明らかに脳に障害が起きていて」「ワクチンを打った後、こういう脳障害を訴えている患者の共通した客観的所見が提示できている」と述べたと言われましたので (同12頁)マウスの実験結果からそのようなことは言えないと話しました。

 

当時NEWS23の放送内蓉は知りませんでしたし、また、成果発表会 をマスコミに公開していたことも知らなかったので、予備的な実験結果で学会発表段階にないものをマス コミに公表して、本件実験から子宮頸がんワクチンの副反応としての脳障害について、断定的なことを池田先生が述べたとすれば、たしかによくないと思いました。本件実験の手法について、実験で用いたNF‐κBp50欠損マウスや実験手順についてまず一通り説明しましたが (同 22~ 28買)、村中さんは通常の自己抗体の検査方法をご存知なかったようで、本件実験がフクチンに含まれるアジュバントがBBBを越えて脳に沈着するかを見たものかと勘違いしておられました。(同28頁)。そこで私は、今回の実験は、フクチンを打ったマウスの脳の組織変性を見たものではないことを説明しました (同 30頁)。 大江さんからはフクチンを打ったマウスの脳を見ていないのかを尋ねられたので、一応見たけれども、そもそもNF‐κBp50欠損マウスは脳の海馬に変性が起きやすいから、匹数が少ない状態でフクチンを打ったNF-κBp50欠損マウスの脳の海馬とそうでないものとを比較しても違いがわからず、パイロット実験として不向きであること、違いを見ようとするなら、20, 30匹程度の数で観察しないとわからないから、今回はやっていないことを説明しました。 (同31頁)。

 

続けて、NF‐κBp50欠損マウスの特性として、神経変性が起きやすいマウスであることから、子宮頸がんフクチンを打ったマウスの血清でなくとも、自己抗体ができ、免疫染色の結果、緑色に染まる部分があることを説明しました。このことは脳の海馬に限らず、網膜についても同じことですから海馬に限定して説明したわけではありません。何も接種しない月齢5カ月のNF‐κBp50欠損マウスから採取した血清を野生型マウスの網膜組織に添加したところ、網膜組織の網膜視神経細胞を認識すると思われる抗体が認められたことが書かれた論文 (甲 25)を、この日村中さんらに渡したのも、NF‐κBp50欠損マウスの特性を、既に公表されている資料に基づき説明するためです。面談でも、私がこの論文について説明している部分があります。 (乙7の2、34頁~35頁)。

 

この論文についての説明を聞いた宮川先生が「網膜も中枢神経系の一部だと」(同36頁)と話しているとおり、網膜と脳の海馬はいずれも中枢神経系で、中枢神経系の神経回路の形成や神経細胞の状態を観察するために、海馬と網膜の両方に着目することは何らおかしなことではありません。プログレスミーティングの資料(甲17)に網膜と海馬のそれぞれの免疫染色の結果があるのもそのためです。面談で私が緑色に染まると述べたのも、海馬だけでなく網膜も含めた説明であり、少なくとも宮川先生はそのことは理解していますから、大江さんらにはすぐ理解できなくとも、後で宮川先生から説明を受けて理解していただけるものと思いました。

 

大江さんから示された本件スライ ド(甲5)について、「例えば、緑色のこれとか出るんですよ」(乙7の2、43頁)と私が述べたのは、本件スライド中、子宮顎がんフクチン以外のフクチンについて、「血清 (自 己抗体)」のところの右上部分が少し緑色に染まっているものを指したものだと思います。このスライドに使われた写真が、プログレスミーティングで何枚も出した写真の1枚と述べたのも(同 44頁)、 海馬や網膜の染色結果について出した複数の写真の中の1枚という意味です。本件スライドのほかに、マウスの脳の海馬について、本件スライドと同じ構図で自己抗体を緑色に染色して撮影した画像が何枚もある」という意味ではありません。そして、池田先生が、班員が作成したスライド資料等から、成果発表会で説明するために一部のスライドをピックアップするのは当然のことであって、不正行為ではありません。
 

 

私は、面談で、池田先生や塩沢先生が不正行為をしたと述べたことはありませんし、私が行った実験過程に不正があったと述べたこともありません。ウェッジの記事 (甲1)を読んだ直後に私が宮川先生に送信したメール (丙 38 9頁)で「捏造ではなく、誤った理解」と書いたのも、捏造を疑われるようなことは何もないのに、記事で「捏造」と書かれて驚いたからです。なお、当時、本件スライド (甲5)の説明書きは池田先生が書いたものと思っており、また、面談で大江さんが私に話したように、TBSで池田先生が本件実験について「明らかに脳に障害が起きていて」「フクチンを打った後、こういう脳障害を訴えている患者の共通した客観的所見が提示できている」とすれば (乙7の2、12頁)、 実験結果について誤った理解で発表されていると思いましたので、「誤った理解」と書いています。「誤った理解」は捏造でも研究不正でもありません。

 

私が面談でお話ししたのは、本件実験で使用したNFⅡ-κBp50欠損マウスの特性、すなわち、何もしなくても加齢によつて自己抗体が生じることがあり、免疫染色の結果、緑色に染まることがあることを前提に、子宮頸がんフクチンを打ったマウスの血清について自己抗体を調べたところ、網膜や脳の海馬などで他のフクチンより数値が高く出る傾向が見られたことからこのパイロット実験の結果をもとに、引き続きさらに研究して自己免疫疾患の素因がある女性については、子宮頸がんフクチンを打たないほうがよい場合があるとの情報を被接種者に与えることで、副反応のおそれがない女性が安心してフクチン接種できるようになるのではないかということです。

 

ウエンジの記事 (甲 1)を読んだ後に気付いたのですが、もしかしたら、大江さんや村中さんは、本件スライド(甲 5)に、「サーバリックスだけに」自己抗体が沈着したと書かれていたことから、文字通りサーバ リックス以外のフクチンを打ったマウスの血清には全く抗体反応がない、すなわちゼロでサーバ リックスだけに抗体反応があZたと考えたのかもしれません。しかし、本件スライ ドの右上グラフの数値がゼロではないことからわかるとお り、ゼロではありません。だからといつて、「サーバ リックスだけに」との説明が誤りであるとも思いません。


 

前述のとおり、このNF‐κBp50欠損マウスは何もしなくとも加齢によって自己抗体が生じるマウスですから、どのマウスについても一定程度、自己抗体の反応が見られることはあります。ただ、マウス海馬、網膜のいずれについてもサーバリックスについて数値が高い傾向が見られ、ELISA法 による結果 (甲17,38枚目)も これを裏付けていたことからすれば、他のワクチンで一定程度見られた反応は非特異的なものに過ぎないと解釈できます。ですから、本件スライドの画像を例として示して、「サーバリンクスだけに」自己抗体の反応が見られたと書いても誤りであるとは思いません。

 

たしかに、これらのことがエビデンスに基づき科学的に証明されたというためには、今回のようなパイロット実験では足りませんが、これは研究の最終結果を公表する学会発表ではありません。厚労省研究カジエの 1年間の活動報告資料として作成されたものであり、いわば途中経過の説明です。池田先生も厚労省も、そのようなものとして池田班の 1年間の活動内容を発表されたはずです。このような位置付けのものとして見ることは、宮川先生はもちろん知つていますし、医師であり厚労省研究班について取材されている村中さんであれば、よくご存知のはずです。
 

 

ウェッジに掲載された記事(甲1)は、書く側の都合で、私の話したことを断片的、つまみ食い的に拾い上げるように書くことによって、私の話した趣旨をねじ曲げ、全体して私の説明と全く異なる記事に出来上がっていました。私は、ウェッジに掲載された記事 (甲1)を読んだ際、読者の興味心をそそらせるためのフェイク記事だと滑稽に思いました。記事(甲1)では、私の発言に基づくかたちで「手渡した資料には子宮頸がんフクチン以外のフクチンでも強く緑色に染まった画像が何枚もあった。 しかし、池田教授は子宮頸がんフクチンでよく光っている写真と他のフクチンで光つていない写真が組み合わさったスライドだけを発表したのだという。これは重大な捏造である。」と書いていますが、そのような事実はないことは、すでにご説明したとおりです。

 

私が塩沢先生に渡した資料(甲17)のうち、「核染色」「血清 (自 己抗体)」「海馬神経繊維」「融合」の4つに分けて、「血清 (自己抗体)」の部分について、特異的な反応が見られる場合に緑色に光るよう設定し、血清を振りかけたマウス海馬の反応写真を並べたスライドは、本件スライド(甲5)に使われたもののみです。仮に、池田先生が塩沢先生からこの資料(甲17)を受け取っていたとしても、池田先生が選ぶ余地はありません。本件スライド(甲5)が 1匹のマウスのものであることについて、チャンピオンデータと宮川先生が言っていましたが、チャンピオンデータという言葉は学術用語ではありませんし、友人ゆえの冗談交じりの軽口と受け上め、面談では特に訂正を求めませんでした。

 

しかし、だからといって、これを捏造だと記事に書くのは間違っていますし、意図的な悪意を感じます。宮川先生自身も「「捏造」という言葉は、強すぎるような気がします。」(甲26)と メールで書いておられるように、捏造ではないことをわかっておられます。NF‐κBp50欠損マウスを用いたことについても、宮川先生が私に疑問を述べたことなど無かったのに、記事では「このマウスを使う妥当性は不明」(41頁4段目)と書かれ、記事後半は池田先生個人の悪口が並んでいて、まるで「白い巨塔」のドラマを思い起こさせるような読み物に仕立て上げられていると感じました。池田先生が厚労省研究班の活動で名声を得て、これを医学部の権力争いに利用していると言わんばかりの書きぶりは書いていて痛快でしょうし、さぞかし一般読者の興味を引いたことと思いますが、根拠無く捏造と書かれた側のダメージは計り知れません。


この陳情書を読めば、実験経緯を詳細に論理的に記述しているだろう。何のために池田班の行く手を阻もうとするのかは、謎ではなく現実であろう。製薬会社のワクチン利益の利益相反の旨みは、おそらく想像以上のものなのだと想像するしかない。でなければ、これ程までに髪振り乱して子宮頸がんワクチンの研究班を卑しめる作業に邁進などしないだろう。ワクチン利権の製薬会社と医師そして学会すべてが、金まみれになっているリアルがありそうである!

 

❀用語「チャンピオンデータ」とは?
世間一般では「チャンピオンデータ」は偉業のことを指しますが、科学の世界では、信頼されない、どちらかというと忌み嫌われるものです。(治療)成績が理論や理想に近いもので、発表することで評価が上がるかもしれないデータを指します。そのようなデータは、たとえねつ造でなくても、偶然や好条件が幾重にも重ならなければ取れないデータなので、再現性が薄く普遍性が疑問視されます。

出典元:http://archives.mag2.com/0001602112/20130424150708000.html

 
 
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☆ブログ更新しました。
 
村中璃子氏らへの裁判への『A氏』の陳述が興味深い内容でした。医学研究というものの姿が垣間見れたことと、人が何かを企てる時にあらゆるものを動員してアプローチするということ、治験とその背景の動きというものが部外者にも、垣間見ることができました。