認知再構築法とは、認知行動療法の中の一つの技法で、適応的でない認知的な行動を、適応的な行動に変容させる介入をいいます。 簡単に言い換えると、ネガティブな認知をより望ましい形に変容させて実際の行動を変えていくアプローチ。

 

今回メンタルダウンで休職したが、何がどのように自分に作用して立ち直れなくなるほど落ち込んでしまったのか、そしてどうすればそこから切り替えることができたのか、その手法をロジカルに学びたくて、心療内科で認知再構成法のワークを受けた。

 

仕事をしている時も、よく職場で同僚や上司から「(これが失敗しても)命が取られるわけではないから大丈夫」という声かけはもらっていたが、正直「そんなことは分かっている。」と思っていて、そんな気休めは全く不要で、意味のない無駄なやり取りだなと感じていた。実際、その声掛けがあっても1ミリも自分の気持ちは動かなかった。だから出来るだけ再現性の高い、システマティックな立ち直り手法を求めていた。

 

結論、学んだ認知再構成法のツールは使えそうな気がする。

 

将来、再び気持ちが沈むことが起こった時、このブログを(将来の自分が)発見して上手く対処してくれることを期待。

 

なお、このワークは頭で考えるだけで終わらせず「必ず文字にして書くこと」。書く行為によって、その問題は実際は大したことではないことが客観視されることが最大の効果であり、得たい果実でもある。

 

 

1.認知再構成法のフレーム

 

(1) その”何か”が起こった時、自分が自動的に何を感じていたのかを言語化する(自動思考)

(2) その言語化した気持ちは一言で表現すると何かを整理する

(3) (1)と(2)で感じたネガティブな感情を客観的に裏付ける根拠を探し、書く

(4) (1)と(2)で感じたネガティブな感情に対して、矛盾する根拠を探し、書く

(5) おそらく(3)と(4)を書くと、矛盾が多い主観的な不安であることに気が付くと思う。それを踏まえ、その不安を感じている自分Aに対し、自分Bが声をかけるとしたら何て声をかけて安心させてあげるかを考え、書く

 

 

※私が実際に実施したワークをサンプルとして記録する

 

ケース:転職活動で、最終面接まで進んだ企業の社長面接が上手くいかなかった

 

(1) おわったー、もうだめだ、ここまできたのに、やってしまったー、相手をがっかりさせてしまった

(2) 焦り、不安、自信喪失感

(3) 面接官(社長)の反応の悪さ

(4) 正式回答は未だ来ていない、転職エージェントからのFBは悪くない、会話のキャッチボールはできていた、面接前に惹きつけ面談があり先方の期待値は高い

(5) 失敗したという客観的な事実はないし、合否は自分ではなく相手が決めるものなので落ち込んでも仕方ない。もしダメだったとしてもまだ時間はあるし転職先企業は世の中に沢山ある。

 

 

2.リフレクションする際に効果的な12の質問

 

(1) 自動思考がその通りであるとの事実や根拠、理由は?

(2) 自動思考に反する事実や根拠、理由は?

(3) 自動思考を信じること、思い続けることにメリットはあるか?

(4) 自動思考を信じること、思い続けることにデメリットはあるか?

(5) 現実にはどのようなことになりそうか?

(6) 以前似たような体験をしたとき、どんな対処をしたか?

(7) 最悪、どんなことになる可能性があるか?

(8) 奇跡が起きたら、どんな素晴らしいことになるか?

(9) 他の人なら、この状況に対してどんなことをするだろうか?

(10) この状況に対して、どんなことができそうか?

(11) もし友人がこのような状況だったら、何と言ってあげたいか?

(12) 自分自身に対して、どんなことを言ってあげたい?

 

 

3.Appx.推論の誤り

※客観視する際、推論の誤りに陥っていないか照らして整理するとより一層俯瞰的に自分を整理できる

 

・根拠の無視

現実的な可能性を検討せずに否定的な予測をエスカレートさせる

 

・自己関連付け

出来事の成り行きや結果を自分のせいと思い込むこと

 

・トンネル視

出来事の否定的な側面のみをみること

 

・白黒思考

少しの失敗や例外を認めることなく、二分法的に結論付けをすること

 

・「すべし」評価

自分や他者に、常に高い水準で成果を要求すること

 

・読心術推論

他者が考えていることを確認せず、自分はわかっていると思い込むこと

 

・過度の一般化

ある特定の事実だけとりあげて、それがすべての証拠であるように考えること

 

・レッテル貼り

自分や他者に固定的なレッテル(たいてい否定的なもの)を貼ること

 

・自己と他者のダブルスタンダード

自分だけ他者と異なる厳しい判断基準をもつこと