愛しき祈り此処に在りき。 | 広瀬里菜のブログ

広瀬里菜のブログ

ブログの説明を入力します。

その人の手ゎ


節くれていた。


泥や埃にまみれた


その手を寒さから


隠そうとする服の


袖もまた、油や垢に


まみれ、その袖口で


子供の鼻水を拭いて


あげる。


何年間前、


父親の仕事の関係で


訪れた場所。


世界の屋根とぃわれる


チベットでゎ、


昼間近距離から照りつける太陽がじりじりと大地を焦がし、陽が沈むと、途端に極寒の地へと変貌を遂げる。


そんな貧しく過酷な条件の中でも人々ゎ笑顔を絶やさない。


農牧民や農耕民族の殆どの子供が学校にゎ行ってぃない。髪ゎ薄汚れてからまり、衣服ゎどこかしら破けてる。


「幸せかぃ?」父親が訪ねると、12歳の少年ゎ至極当たり前に、「ここょり他に行きたい所なんてなぃよ。ここょり良い所なんてどこにもぁりっこなぃ。」と白い歯を見せて笑った。


チベットの人々ゎ、伝統や生まれ育った地、家族を愛し、重んじる。


空ゎとても大きく吸い込まれそぅで、その下にゎ、幸せが人の姿をしてここにぃると思った。


停電で困ってぃる家にソーラーシステムを提案した時、その家の主人が言った。「あれゎ最初ゎいぃと思ったけど、あそこに虫が集まってきて挙げ句に死んでしまぅことを知ったら、嫌になったょ。自分の便利さのために沢山の命を殺すくらぃなら、僕ゎローソクの明かりで十分さ。」


多分、彼らの文化ゎその気になればとっくに近代化していたのだろう。


しかし、敢えてしなかった。それゎ彼らが本当に大切なことを知ってぃるからだと思った。


彼らゎ自分達しかしらなぃ。この地で生まれ、この地で育ち、ほんのこの辺りだけを知って生きてぃく。また、数ヶ月、時にゎ数年といぅ月日をかけ五体投地で聖地を目指す彼らの姿に、私達ゎきっと抵抗を感じるだろう。


ここより他に行きたい所なんてなぃ、と豪語した少年にもまた、可哀想と感じるかも知れない。「世界ゎ広いのょ。色々な所や人々がぃるのよ。」と、言ってしまぃそぅになった。


でもきっと、その少年ゎ「そぅかも知れないね。でもやっぱり僕ゎ此処が好きなんだ。」と、また白い歯を見せて笑うのだろう。恐らく、それが人としての自然な姿なのかも知れない。


人々の心にゎ、いつも幸せへの祈りが息づいてぃる。人を許し、戦いを避け、生き物と共存し、草木や虫の命が人となんら変わらず尊いことを知ってぃる。


幸せとゎ人々が望む最大にして唯一のものだと思える。彼らゎそれを全ての人々のために祈りながら働き暮らしてぃく。


自然の懐深く生きる人々ゎ、決して自由奔放に生きてぃるわけでゎない。彼らを苦しませる要素ゎ掘り起こせば山程ある。

私達の国を含む近代国家ゎ、車や携帯電話、コンピューターなど何不自由ない、それ以上の便利さを求め、日々発展を続けてぃる。そして、いまだ世界中で繰り広げられてぃる争いの数々。


それらの中に渦巻く妬み、欲、怒り。私にゎ、それらの国々のほうがよほど不安定で原始的に見えてならなぃ。快適さを追求するあまり近代国家ゎ、人としての核を何処かへ置いてきてしまったのでゎないのだろうか…。

そんな心なぃ国々の強い風当たりの中でも、チベットの人々からゎ憎しみや悲しみの色ゎかけらも見えない。


信じる心ゎ大きな力を生み出す。その力とゎ優しさや慈悲、心に根づいた平和とぃう強さであり、人を愛し何かを信じるとぃうことが、こんなにも無垢で眩しいほどの笑顔を作り出すものかと、胸にこみあげる何かを押さえきれなかった。


泥だらけの顔からのぞかせる、ひときわ強い目の光ゎキラキラしてぃて、「幸せだ!!」と私に世界一美しい笑顔を見せてくれた。


いつかまた、チベットを訪れ、彼らとバター茶を飲みながら、あの青空の下で、共に笑い合いたいと心から願う。