中学に入ると
周りの子達も、付き合うようになったり
オシャレとかそういうものを
意識し始めるようになっていった

相変わらず彼と過ごしていた私も
どちらからというわけでなく
自然な流れのように
彼と男と女として付き合うようになった

中学生と高校生の差は
とても大きい

私はガキ扱いされないように
髪はロングに伸ばして
慣れない化粧も覚え
一緒に歩く時に
その差を感じさせない事だけに
必死になっていった

背伸びをしている私を
彼は分かっていたけど
苦笑するだけで
その光景を傍観していた

ただいつも言ってたのは


「バカな女だけにはなるな」


バカな女ってなんなんだろう.... ?



「俺は、こんなとこで終わらない
 夢は絶対叶える
 だから、お前も
 こんなところでチッポけに終わるな」


どんどんその言葉通り、有名になっていく彼の後を
ただ付いていくのに必死だった

でも、その光が眩しくなって
それに魅了されている自分がいたんだ


私には、夢なんてなかった


どうしてもなりたいものなんて
これといってなかったけど
その時、絶対ならなけばいけないと
一つだけ思った

いい女ってやつに....

なり方なんて、何か読んで得られるわけではない
どうやったらなれるのかも分からない

それでも、彼の後ろを歩いていたかった
たった一つの光だったから

彼が特別な男になるのなら
私も特別な女にならなければいけない

そして、そこから私はモガキはじめたんだ


中学三年になった頃
高校三年だった彼は、スポーツ推薦で
この土地を離れ、大阪の大学へ進学する事がほぼ決まっていた

こんな場所に
私だけ置いてかないでよ
っていうのが本音だった

でもそんな事は言えるはずがない...

私はずっと競泳をしていたから
スポーツ推薦で関西方面の高校へ行けないことはなかったけど
お金の面倒を、今の両親にかけるわけにはいかなかった

咄嗟に出た私の判断は
自分でお金を作る

有り金を鞄に詰め込んで
私は深夜バスに乗りこみ
大阪へ向かった

親には合宿だと嘘をついたが
疑う事もなかった
というより、そもそも関心がなかったんだろう

大阪には中学の先輩がいて
飲み屋で働いていると聞いていたから

なんとかなるだろうと安易な気持ちで
私はその世界に踏み込んだ