映画雑レビュー「ザ・ファブル」68点 こんな岡田くん久々!とにかく笑える殺し屋エンタメ! | SayGo's 映画レビュー
「ザ・ファブル」
公開日 2019年6月21日
上映時間 123分
ーーーーあらすじーーーー
裏社会にその名を轟かせる殺し屋 ファブルは
ボスから休業を言い渡され、
人を殺さず、大阪で一般人として
普通に生活するよう命じられるのだったが ー。
週刊ヤングマガジンに連載される南勝久の同名漫画を
岡田准一主演で実写映画化。
監督はCMディレクターとして数々の受賞歴を持つ江口カン。
★★こんな岡田くんを待ってました!ノリのいいコメディ・アクション★★
『ジャニーズアイドル』という肩書きよりも
『実力派俳優』という方がしっくりくるように思える 岡田准一。
名実ともに日本を代表する役者となった彼の姿は
ファンにとって喜びでしかないだろうが、
コメディー作品から遠ざかってしまった事に
『寂しさ』を覚えている人も多いことだろう。
男気に溢れた格好いい岡田くんも好きだが、
ふざけてる岡田くんが懐かしい...
『木更津キャッツアイ』『タイガー&ドラゴン』に
夢中になっていた自分もそんな一人だが、
そんな方々にとって『待望』の
2000年代初期の岡田准一復活作品だ!
『殺さずの誓い』をボスと交わした殺し屋 ファブルの
戦いを描く本作だが意外なほどコメディーを炸裂させる!
『猫舌』という可愛らしい設定だけでなく、
一般的な普通に馴染もうとするあまり
変人プリを露にしてしまう殺し屋 ファブルを、
この十数年間溜め込んだ欲求を爆発させるように
コメディーを炸裂させる岡田准一には歓喜だ!
そんなコメディーで楽しませながら、
アクションシーンで実力を見せつけられたら...
『懐かしい岡田准一』のコミカル演技に笑いながら、
今の『格好いい岡田准一』まで味わうことのできるこの作品は
ファンにはたまらない一作でしょう。
★★殺し屋というテーマを飲み込ませる外連味★★
平和たる現代の日本を舞台にした実写映画において
激しい銃撃戦シーンや殺し屋の登場すれば、
それがリアルとして描かれれば描かれるほど
どこかで『飲み込み難さ』を感じてもしまうところだ。
しかし、物語にも演出にも『映画』らしい外連を効かせる本作は
それらすべてをエンターテインメントとして『飲み込ませ』、
ただただ楽しませてくれる。
『会合に集うヤクザを殺し屋(ファブル)が一掃する』
というオープニングシークエンスを
『外人が描いたような日本料亭セット』、
『TVゲームのような映像エフェクト』という
外連味たっぷりな演出なんてたまらない。
冒頭から『これエンターテインメントです!』宣言に、
見る側も『わかった!』と観る準備ができる。
今日和食だから、和食食べる口にしといて!
と母親に言われ、それを受け入れる準備を整わせる子のようなものかな。
このオープニングがあったからこそ
後の馬鹿馬鹿しいコメディも純粋に楽しめたのだと思うが、
驚くのがそのコメディーの割合!
体感的には7割がたコメディーだ!
所々にコメディーが散りばめられるのではなく、
所々にシリアスが散りばめられているといった方が正しい。
殺し屋を休業し、平凡に暮らそうとする主人公 ファブルの
堂々たる『これが普通でしょ!』という行為に
『沈黙』する周囲にクスクスもさせられれば、
猫舌や絵心のなさなどのユーモラスな設定に
突発的に笑わされもする。
そんなファブルを岡田准一が
『木更津キャッツアイ』『タイガー&ドラゴン』の時のように
活き活きと演じていくのだから...
ファンの自分には懐かしさや喜びも相まって
楽しくて仕方のないものだった。
現代の日本を舞台にリアルに描けば
飲み込み難くもなりそうな『殺し屋』という題材を
外連味ある演出とコメディー量で
エンターテインメントに振りきってみせた本作は
多くの人が楽しむことのできる娯楽作品ではないでしょうか。
原作未読だが、漫画『ザ・ファブル』は
実写化しても世界観が担保される題材だったと思う。
★★流石なアクションシーン!ただ...★★
今の日本映画界で『演技』にも『アクション』にも
名実、定評があるのは岡田准一くらいなものだろう。
そんな彼のアクションはやはりスゴい!
的確に急所を突く凄腕の殺し屋ファブルのアクションに
キレもスピード感もある岡田准一は最適だろう。
華麗な『動』とビシッと決まる『静』の緩急で
テンポ感やスピード感を与えていくような
岡田准一のアクションは流石なもので、
カット割りで誤魔化す必要がない。
殺してはならないという制約に加え、
いかに相手の体をコントロールし、数における不利を補うか
という実践的な一騎大勢コレオグラフィーが
映画的な派手さを纏うスペクタクル演出を交えながら
繰り広げられていくクライマックスはやはり見所だろう。
そんな対人アクションにもスゴいが、
驚かされたのが敵地潜入の際のパルクール!
どうやら岡田准一がそれも行っているらしい?が
足場の内ビルの壁をスイスイと登っていく
サスケアクションも必見です。
ただ、そんなアクションにもうーんな部分が。
ファブルはボスと『殺さずの誓い』をしているため、
クライマックスでも殺すことはできないわけだが、
気絶も、動きを止めるだけの決定打も打たない。
加えて、ドラゴンクエストのパーティーの如く、
戦えば戦うほどファブルの後ろをヤクザが着いてくるわけです!
要はどんどんダンジョンを進む度、
画が人で埋め尽くされ、岡田准一のアクションが埋もれていってしまう。
そんな状況は収集をつけることができず...蓋閉め隔離で決着!
岡田准一のアクションが華麗なだけに
なんとも『勝った感』カタルシスの低さに残念さが残る。
福士蒼汰演じる殺し屋 フードとの一騎打ちは
しっかり決着をつけてくれているのはいいが、
その決着にももう少し色を着けてほしかった...
★★やっぱすげぇ~柳楽優弥★★
本作はとにかくキャストの好演が印象的。
佐藤浩市も向井理もかっこいいし、
佐藤次郎や宮川大介でコメディーに拍車をかけるのもGOOD!
そんな中でも一際際立つのが
ヤクザの小島を演じる柳楽優弥!
正直、岡田准一より印象に残る演技を見せていると思う。
『ウシジマくん』に出演した際も強烈な存在感を残していたが、
柳楽優弥のギラつく目の演技は狂気だ!
小島が恨み相手を殺し、エクスタシーを感じるシーンの演技なんて
正気の沙汰じゃない。快楽殺人者そのものだ。
日本ではこういった役を好演しても賞レースとは無縁だろうが、
本作の柳楽優弥の演技は何かしら受賞して欲しいと切に願う。
『日本の俳優は...』とよく言われるが、
この柳楽優弥を見てもそんなことが言えるのだろうかね!
★★もっと食描写いれてよ~★★
ファブルのキャラクター描写として印象に残るのが
食事の『食べ方』だ。
『生きるために食う』という概念を持つファブルは
頭まで、皮まで、骨まで、とにかくワイルドにがっつく!
ファブルのキャラクター造形としても、
コメディーを醸す要素としても食事描写は印象的なのだが、
なら、もう少し他の人の食事を見せてほしかった。
食事があるシーンは多いのに、
ファブル以外なかなか食べないんですよ。もつと食べてよ!
すごくフード理論に適した作品なのに、もったいない。
いい人には美味しそうに食事を取ってもらい、
福士蒼汰演じるフードには食を拒絶してもらって、
柳楽優弥演じる小島には
汚く飯を頬張り、なんなら『マズっ!』と吐き捨てて欲しかった。
そうしたらもっとファブルの変人プリが対比されたのに...
妄想の中で保管します。
★★総評★★
大半笑えて、随所でかっこいい!
コメディ・アクションエンターテインメント!
なんとか続編をつくって欲しいと思う作品。
★★★