映画雑レビュー「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン~失われたひろし」92点 号泣 | SayGo's 映画レビュー

SayGo's 映画レビュー

勝手に映画鑑賞して
ダラダラとレビューします。

「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン~失われたひろし」



公開日 2019年4月19日
上映時間 100分

ーーーーあらすじーーーー
結婚当時新婚旅行に行けなかった ひとし と みさえ は、
しんのすけ と ひまわりを連れオーストラリアへのハネムーンを決める。
しかし、なぜか伝説の秘宝の重要な鍵となった ひろし は
謎の仮面集団とトレジャーハンターに拉致されてしまうのだった。


臼井儀人の人気漫画であり国民的アニメとして今だ人気を誇る
「クレヨンしんちゃん」の劇場版第28弾。
謎の集団とトレジャーハンターに奪われた ひろし の
奪還するため しんのすけ、ひまわり、そして みさえ が奔走する。


★★近年まれにみるバカさ!なのに、夫婦愛、家族愛に号泣★★
「しんちゃんの映画は泣ける!(T^T)」

名作と呼ばれる作品も数知れず、
時に大人にこそ訴えかけてくるような
メッセージ性を放つ映画シリーズに
そう思っている方も多いことだろう。

「失われたひろし」というタイトルにもあるように
新婚旅行先で ひろし が謎の集団に拉致され、
はたまた、トレジャーハンターにも追われるという展開や

近年のしんちゃん映画の中でも飛び向けた
「下品さ」「おバカさ」が散りばめられてる本作だが、
これが恐ろしいほどに泣けて仕方のない作品であった。

ひろし と みさえの「夫婦ドラマ」と
親の子に対する愛情が台詞ではなく、
仕草やアイテムを通して描かれる「家族ドラマ」は
作品に散りばめられた「おバカさ」とのギャップもあり際立ち、
また、恥ずかしいほどにストレートなLOVEに
自分の涙腺は崩壊の一途を辿っていった。

「GWファミリー映画」であるのはもちろんだが、
個人的には是非「カップル」で、
なんなら「夫婦」で鑑賞していただきたい作品だ!

「しんちゃん、映画でまたヤッてくれたな(>_<)」
という一言に尽きる。


★★バカすぎる!とにかくバカすぎるストーリー★★
野原家全員でオーストラリアに新婚旅行に出向くわけだが、
(※家族として、ちゃんとシロを連れていっているのも最高!)
本作は「おバカ」のアクセルをこれでもかと踏み続けていく。

しんちゃんと共に美女に鼻の下を伸ばしてしまい、
ダンディーフェイスを覗かせる ひろし と 

それに冷ややかな目を向ける みさえ と ひまわり という、
どこへいっても変わらぬ野原家の姿が醸し出す陽気さの中で
しんちゃんが間の抜けたギャグを畳み掛けてくる。

そんな本作は、映画館であっても
「家で見ている」ように気軽く楽しめるのがやはり魅力だ。

ひろしは伝説の秘宝の鍵であることが突如判明し、
謎の仮面集団に拉致され、
仮面族vsトレジャーハンターvs野原家による
三つ巴ひろし争奪戦に雪崩れ込んでいく。

「島の奥地へと連れていかれる ひろし を追う」
というあり得ないほどシンプルなストーリー展開を見せるのだが、
「おバカさ」と「様々な作品を彷彿とさせるオマージュ演出」が
笑いを量産し、見せ場を作り上げていく。

「足が臭いから彼は秘宝の鍵だ!」と
ひろし が強奪される争奪戦のスタートの
切り方ももちろんのこと

絶望的な状況においても間の抜けたギャグを
やめることのない しんちゃん と

絶望的な状況でもそれに対しいつものように
ツッこんでしまう みさえ の「親子漫才劇」など、

隙あらば「おバカ」を仕込んでくるこの作品は
最高に緊張感がなく
ただただ脱力感ある笑いに満ちていた。

そして、個人的に楽しめたのは
映画やアニメ、バラエティー番組の企画など
幅広いエンターテインメントに対するオマージュ演出の数々だ。

客船ナイトクルーズチケット獲得のため
ひろし がダンスバトルに挑むシーンは、
襟の立て方やその立ち振舞いもあって
映画「サタデーナイトフィーバー」!

仮面族の列車で運ばれる ひろし を巡って
トレジャーハンターと しんのすけら が戦う
「ひろし争奪レース」シーンは、
戦闘ギミックを搭載した個性的なマシーンデザインもあって
アニメ「マッハGoGoGo」!
アニメ「チキチキマシン猛レース」!

洞窟内でしんちゃんらを襲うトラップなんて
「とんねるずみなさんのおかげでした」の
人気企画「もじもじくん」!

ネタバレになってしまいそうだが、
クライマックスあたりなんて
映画「キングコング」を思い出してしまったw

それらをしんちゃんらしく「おバカ」にアレンジしてみせるのも
面白いわけだが、
エンターテインメントが好きな方は
そんなオマージュの数々にも楽しんでしまうことでしょう。


★★恥ずかしいほどストレートなLOVEに号泣★★
そんなように しんちゃんらしい
おバカに埋め尽くされているわけだが、
この物語は ひろし と みさえ の夫婦ドラマだ!

普段であれば許せたことも
「新婚旅行」という特別な空間によって
意図せず対立していってしまう ひとし とみさえ。

しんちゃんのともだち ネネちゃんが
「新婚旅行は愛が試されるのよ」という台詞も印象深く、
2人はこの新婚旅行で愛を試されていく。

「奪われたひろしの奪還」という物語そのものが
ひろしとみさえの相互的な愛、夫婦愛を描いていくわけだが、
泣かせるのが「名曲」を使った斬新な演出と、
恥ずかしいほどストレートだからこそ心を打つLOVEシーンだ。

ひろし の みさえ に対する想いを
みさえ の ひろし に対する想いを
あえて伏せるが
誰もが知る名曲、その歌詞で語られる
演出はとにかく印象的だ。

それぞれが心の中で想いを「歌い」ながら
「相手のもとに走っていく」という演出は、

ひろし と みさえ が改めて「愛の告白」をしているようで
この上なくロマンチックなものであり、
反則的な歌詞の力も相まり涙腺は崩壊の一途を辿っていった。

「世界なんてどうだっていい!」と言わんばかり、
周りに目もくれず、
二人だけの世界の中で愛を確かめ会う
ひろし と みさえ のクライマックス、
その恥ずかしいほどにストレートなLOVEなんて
素晴らしいの一言です。


また、そこにもっていくまでの流れもうまい!

前半はひろし視点で みさえ への愛を語り、
ひろしが仮面族に奪われてからは
あえて ひろし の心情描写を最小限にとどめ、
みさえ に寄り添った構成がなされている。

みさえ の心情に焦点を当てたことにって
夫婦間における不満や葛藤が強く描かれており、
だからこそ、それを乗り越え
ひろしのもとに走り出す みさえの姿は
感動的なものとなっていたと思う。

そんな ひろし と みさえ の
夫婦ドラマにスポットされた本作だが、
的確に家族ドラマを差し込んでいるのがまた見事だ。

しんちゃん と ひまわり は
これまでの作品と比べ影こそ薄いものの、
しっかり ひろし と みさえ を繋げる存在となっている。

ひろし と みさえ は些細な言動のすれ違いから
不満を爆発させてしまい、冒頭で対立してしまうわけだが、
夫婦を繋ぎ止めるのは しんのすけ と ひまわり の存在だ。

何を言うわけでもなく、いるだけなのだが、
しんのすけ と ひまわり の存在は
ひろし と みさえ の愛の象徴であり、
その存在が2人に「家族への想い」を確かめさせ、
お互いの言動を見直させていく。

おそらく しんのすけ や ひまわり がいなかったら
ひろし と みさえ は新婚旅行で離婚の危機に面していただろう。

「子」が「夫婦」を繋ぎ止め、
「子」によって「夫婦」が愛を確かめるという
「家族描写」に早々、涙腺がアワアワしてしまった...

そして、また涙を誘うのが、
みさえ の子を持つ母の姿だ。

みさえ が しんちゃん や ひまわり の耳を塞がせ、
溜め込んでいたものを吐き出し一人涙し、
子のもとに戻った瞬間にいつも装う強さなんて

もはや、美しい。

拭えない不安に自分の中でケリをつけ、
その不安に子を巻き込まないようにする
みさえ の姿は

親の鏡であり、眩しくてしかたがない。


加えて、みさえ の持つパンパンのリュックだ。
自分の事より子のことを想ったゆえ
パンパンに膨れ上がったリュック。
それは みさえ の「愛情」をそのまま比喩している。

恥ずかしいほどストレートな夫婦ドラマのLOVEにも
子の存在、子への愛が夫婦を繋げていくような
家族ドラマのLOVEにも涙が止まらなかった。

涙腺を刺激するエモい演出の連続だが、
涙を誘ったのち必ず笑いを用意し、
湿っぽくさせないもの最高なところだ。


★★総評★★
しんちゃん映画シリーズ内でも最高峰の名作。
親子だけでなく、「カップル」や「夫婦」で
是非鑑賞してもらいたい作品。
夫婦であれば「新婚」に戻ることもできるだろう。

 

あと、しんちゃんの声優を引き継いだ小林由美子さんすごいです。

★★★★★