映画批評 「ジョン・ウィック チャプター2」 86 点 | SayGo's 映画レビュー

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勝手に映画鑑賞して
ダラダラとレビューします。

「どうこの映画を語ろうと、すべて「控えめ」になってしまいそう」

 

見終わった後「隣の人迷惑したかもしれない・・・」と思うほどに、

あまりの興奮に体が自然とリズムを刻み、椅子をガタガタさせてしまった前作。

あの日、見終わった瞬間から今日という日をどれかだけ待ったのだろうか?

今年最も高いハードルを設けて観に行ったわけですが・・・

 

妻、そして、妻の残した犬を殺され、その復讐を果たしたジョン・ウィックは

再び裏社会との決別を決意した。

しかし、そんな彼のもとにイタリアンマフィアのアンティーノが現れ、

過去に交わされた「誓印」のもと、新たな殺人を依頼されるのだった ―

 

「ジョン・ウィック チャプター2」

 

 

 

インディペンデント映画ながらヒットを記録し、

様々な格闘技と融合されたガンアクションが大きな評判を呼んだ

キアヌ・リーブス主演「ジョン・ウィック」の続編。

 

まず注意していただきたいのは「パンフレット」!

物語の起承転結のすべてが書かれてしまっているので、

鑑賞後に読みましょう!自分は後で読んだのでセーフでした。

 

自分が映画鑑賞中に最も興奮した映画=「ジョン・ウィック」なわけで、

そんな作品の続編となれば、もう楽しみで仕方がないわけで、

今年一番高いハードルを設けて観に行ってきました。

結果から言えば、

「前作程の衝撃はなくとも、また、続編を望んでしまうカッコよさ!」

 

常に自分を優位におきながらタクティカルな近接戦闘を繰り広げるスピード感。

「ヘッドショット」によって、個々のシークエンスを区切る爽快感。

そんな前作のいい部分を引き継ぎながら、

関節技、投げ技、寝技、ナイフ戦術など様々な追加要素を増やした本作のアクションは、

誰が見てもスケールを広げており、

前作が好きな人であればあるひど「続編ダメじゃん」とならないだろう。

 

劇中の言葉を少し引用するのであれば、

「ジョン・ウィックのアクションはどう語ろうと「控えめ」になってしまう」ので

もう観てくださいとしか言いようがない。

 

もうそんなアクションがあるだけで続編として申し分ないのですが、

前作で多大なるユーモアと存在感を醸していた「裏社会」を舞台にした本作の物語は

また違う「ジョン・ウィック」を紡ぎ出す。

 

前作が「復讐=リベンジ」をテーマにした物語であるのならば、

本作は「裏社会との決別」をテーマにした物語だろう。

 

復讐を終え、再び平穏な生活を望むジョン・ウィック。

しかし、彼はイタリアンマフィアとの間に過去結ばれた「誓印」という

「裏社会のルール」によって再び銃を握ることになる。

 

要は、どれだけジョン・ウィックが普通の生活を望んでも、

「ルール」がそれを許してくれず、

彼は「裏社会」から解放されるために「ルール」に従って殺しを行うわけです。

しかし、その「ルール」に従うことで

彼は表社会から遠のいてしまっていくというのが本作のジョン・ウィックの悲劇だ。

 

少し話を脱線させるが、本作における裏社会表現はまた面白い、

「誓印」のルールに関して確かな説明がなされないように、

事の大半をベールで包むことで一定のリアリティを保ちながら、

「ありえないだろう」というようなユニークさを組み込む

本作の「裏社会」表現はやはり前作同様に面白い。

銃器ソムリエは特に印象深いシーンで、

「テイスティングしますか?」の一言はとても粋だった。

 

また、本シリーズは007のように「スーツムービー」でもあるわけだが、

オーダーメイドする際に「裏地は?」と問われ、「戦闘用で」と答えるシーンは

少年心をくすぐられる。自分も言ってみたいものだ。

 

この新調されたスーツのせいもあるがやはり

「ジョン・ウィック」が無敵でしかないところも面白い。

おそらく彼はアベンジャーズと戦っても張り合えるだろうと思えるほどの無敵さ。

車に引かれても、銃を受けても立ち上がる彼の姿は

前作同様に「敵を心配してしまう」のだ。

しかし、見方を変えればその「無敵」さこそが

ジョン・ウィックと裏社会の関係性を描いているようにも思える。

 

平凡な生活を望んでいる彼だが、見る見る体は生傷に覆われていく。

自分の望む姿とかけ離れていくその様に加えて、

「裏社会」そのものが襲い掛かってくるようなクライマックスの構図は

「ルールから逃れたくとも逃れられない男」の姿を助長していく。

 

そして、来るクライマックス。

自らを苦しめていながら、自らを守ってもいた裏社会のルールに対し、

ジョン・ウィックはある行動を見せる。

主人に従順であり、ある種「ルールに守られていた過去の自分」と重なる愛犬を引き連れて

ホテルを出ていくジョン・ウィックの姿は「裏社会との決別」を強く意味する。

 

ジョン・ウィックの最後の一撃は、一見感情的な行動に見えるわけだが、

それは確かな物語のカタルシスになっていたと思う。

 

そんな、彼の決別表明に対し、動き出した裏社会。

「決別」が新たな「戦争」を匂わせ幕を閉じる本作を観させられたら、

劇場を後にする時にはまた続編を望んでしまっていることだろう。

 

 

もはや右に出る作品がないほどに完成されたガンアクションで魅了しながら、

自由を求めて裏社会と決別する主人公の戦いを見せた本作は、

王道であった前作とはまた違ったカタルシスを持った物語に仕上がっているような印象。

裏社会表現の絶妙なさじ加減、随所に散りばめられたユーモアは、

またファンを釘づけにすることだろう。

また、映画を観終わるとポスターの見事さを痛感する。

 

★★★★★