『4年前』 | ルーク・フォン・ジェイド


ルーク・フォン・ジェイド

4年ぶりに訪れた街。

感慨深げな何かを感じることもなかった。


お伽話の世界さながらの霧に包まれた夜の街。

首都圏では最大規模の商圏を擁する街から少し外れた

場所にある下町。


明け方に3つ向こう側の駅にある坂道を歩いていた記憶。

時の流れは速くも遅くも感じる。


ただ確実に時間は流れていて

記憶の中にある通り道に存在したはずの店がない。


そこで生活していたはずの人がいない。


少しの間

時計の針を逆に回してみる


懐かしさも何も感じない

自分は心のどこかが壊れているのか


時の流れが止まったままの記憶と

リアルタイムで移り変わる世界との

境界線が曖昧なのか


そんな自分自身の心の動きには

まるで興味がないかのように

街並みは変わり続ける



ルーク・フォン・ジェイド