姫が受ける化学療法は
1クール目と2クール目の間が開きません。
ステロイドをベースに効かせながら、リツキシマブ、エンドキサン、オンコビン、ドキソルビシン、メソトレキセート、髄注からも、メソトレキセートとソルコーテフと、多剤併用で多量に抗がん剤が投与されます。
それぞれに起こり得る副作用が、色々とあり過ぎで
初回から、いつ起きてくるのかとドキドキしながら待ち構えていたのですが
頭が痛いとか、手が痺れるといった症状が2日ほどあったぐらいで、それ以降2週間、毛が抜け起き始めるまで、姫がずっと苦しむような副作用はありませんでした。
こんな感じなら
最終クールが終わるまで
姫も余裕で乗り切れるに違いない
と過信してしまったのですが
それが、大間違いでした
『粘膜炎』
化学療法によって小腸の腫れが軽減し
腸蠕動が起こり始めたのは良かったのだけれど
姫の消化管の全てにおいて、粘膜炎が起き
炎症を起こしている腸が蠕動運動によって
引っ張られたりする事で激痛が走るようになりました。
腫瘍による痛みより、粘膜炎症状による痛みのコントロールがつきにくく
レペタンを再開してもらって、量を増やしても全く効かず
しまいに、副作用の嘔吐ばかりが目立つので
アタラックスPで、鎮静を図ろうとしても
痛みが勝って一睡もできず
結局ソセゴンを入れてようやく寝入るという…。
翌日には、モルヒネ投与に変わり、痛みのコントロールを図って下さいましたが、それでも効果が得られず、当直の先生が心配して、夜中の3時にCTを撮り、穿孔がないかを確認する状況にまでなりました。
結局、画像は前回と変わりなく
穿孔もなかったとのことですが
あまりにも粘膜炎の症状が激しすぎて
目の前にいる姫は
『辛い』『苦しい』『お腹痛い』と涙ながらに訴え続ける有り様。
そんな姫が不憫で、私もほぼ24時間、おトイレ以外は、姫のお腹をさすり続ける状況でした。
ほぼゼロに近くなった白血球が立ち上がってくれば
きっと、楽になるからと言われても
想像もつかず
モルヒネを早送りして入れてもらっても、ベースの量を増やしてもらっても、何をしても痛みが変わらない状況が、心配で仕方がありませんでした。
唯一、お腹をさすっているとウトウト眠りにつく事ができていたので、私の手はきっとモルヒネよりも、強い鎮痛作用があったんだと思います
本当は、粘膜炎自体の痛みもそうだけれど
姫自身が、突然こんな状況になってしまい
いつまで続くとも分からない痛みに
ただ凄く怖くて、不安で…
それこそ死の恐怖と闘っていたのだと思います。
摩って楽になる事を考えてみても
きっと、心の痛みの方が、かなり強かったのかなと思います。
姫に付き添うそばで、病室の窓から見えた花火。
お部屋は特等席なんでしょうけど
一睡もできない日もあり
次から次に起こる苦しみの毎日で途方に暮れ
純粋に花火を楽しむ余裕は、姫にも私にも全くありませんでした。