自分で抉ってるんだろう。
だけど考えないわけにはいかない。

マイローが見上げてる。
ストーブの前で寝っころがっていて、椅子に足をかけて抱き上げてくれるのを待ってる。
電車を見つけて、平行に歩道を猛ダッシュ。
待てもお座りもお手も伏せも、言われたことはすぐに身につけられた。
利発な子。
やんちゃで、こちらの様子を伺いながらいたずらして。
いたずらっぽい目。ちらりと伺う目。
けど抱っこしながら椅子で寝ちゃった妹を振り切ることもなく、じっと待ってた。
優しい子。

一緒にいたのは100日にも満たない。
会えなくなってから50日が過ぎた。思い出が少なすぎる。私が長生きしたら、覚えてられないかもしれない。

私たちの勝手で、人間の勝手で連れてこられて、天寿をまっとうすることもできなかった。
一過性のものとして、人間は忘れていく。人間は生きているものしか見ていない。
私はそんな人間では在れないし、在りたくない。

マイロー。どこにいるの。
今まで通り、電車と走ろうよ。
好きなだけ遊ぼう。100歳超えても忘れないような、強烈な印象を残して。

お姉ちゃんはもう、お前の匂いも分からないよ。
お前は確かにいたはずなのに。どうすればいい。

生きている者は残酷。
あなたが先に進めないのに、何事もなかったかのように歩んでいく。

運動不足だから歩きに出ようかと思うたび、進む道のそこかしこに思い出が落ちていることに思い至って嫌になる。
拾う勇気もない。