紅茶にも効果があるそうです。
「わずか10秒で新型コロナの感染力が低下する」大学教授が予防効果アリと期待する"ある飲み物"新型コロナウイルスの感染予防にはどんな対策が有効なのか。大阪府立大学の山崎伸二教授は「紅茶には感染予防効果があると考えられる。日常的に『ちょこちょこ飲み』を続けることで、手軽で安価な対策になるはずだ」という――。
なぜ紅茶に着目したのかというと、「紅茶ポリフェノールがインフルエンザウイルスの感染力を減少させる」という研究結果がすでにあったからです。
新型コロナウイルスも、インフルエンザウイルスも、「エンベロープ」という膜を持っているウイルスです。それゆえ、新型コロナウイルスにも効果が期待できるのではないかと予測し、2020年10月に大阪大学、大阪府立大学、三井農林の三者共同による、新型コロナウイルスに対する紅茶の抗ウイルス活性の研究をスタートさせました。
紅茶に含まれるポリフェノールが新型コロナの感染力を減少させる
先に結論からお話しすると、紅茶の効果についてわかったことは、大きく分けて2点あります。
1点目は、市販のティーバッグでいれた紅茶で新型コロナウイルスを処理すると、わずか10秒でウイルス感染力価(細胞に感染するウイルス数の指標)が減少すること。2点目は、通常の飲用濃度よりも低い濃度の紅茶でも新型コロナウイルス感染力価は減少するということです。次に、どのような実験を行ったのかについて説明しましょう。
今回調べたのは、①それぞれ異なる茶ポリフェノールの水溶液20種、②粉末緑茶溶液、③粉末紅茶溶液、④紅茶のティーバッグ抽出液――の4種類の溶液です。それぞれを新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と一定時間作用させることで、抗ウイルス活性を調べました。
抗ウイルス効果が認められたのは、②粉末緑茶溶液(通常の飲用濃度の1/5)、③粉末紅茶溶液(同1/3)、④紅茶ティーバッグ抽出液(同1/2)の3つの溶液でした。いずれも、新型コロナウイルスの感染力価を減少させました。このことから、濃度の低い緑茶や紅茶でもウイルスの感染力価を減少させることがわかりました。
粉末緑茶溶液では、新型コロナウイルスの感染力価を減少させる、つまり、感染力を持つウイルスの数を10万分の1まで減少させるのに10分間必要でした。それに対して、粉末紅茶溶液と紅茶ティーバッグ抽出液では、共にわずか10秒しかかかりませんでした。
これが「わずか10秒ほどで新型コロナウイルスを不活化する」という根拠です。
紅茶を飲むことで免疫力がアップする
ところで、感染症対策としては免疫力を高めることも重要です。
紅茶を継続的に飲むことで、ウイルスに侵された細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が高まり、唾液中の分泌型の抗体(SlgA)濃度が増加する、つまり免疫力が高まるという研究結果があります。
20歳~60歳の72人を対象とした臨床試験では、1日3杯の紅茶を12週間継続して飲み続けたところ、風邪をひきにくくなり、ひいても重症化しにくくなったとの報告もあります。
免疫力アップの観点からも、紅茶は注目されています。
「紅茶を飲むと、ポリフェノールが口腔内で10分程度は残る」という研究結果があります。
ですので、一度にたくさんの量を飲むのではなく、少しずつでもいいので飲む頻度を上げる「ちょこちょこ飲み」が感染対策としてはより有効といえるでしょう。
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