おはよう・・・。

 

挨拶を交わしただけなのに、妙に緊張している自分がいました。

不覚にも、何とも思っていなかった錦戸君を、ひとりの男性として見ているんだと次の日はっきり自覚せざるえませんでした。

 

年下の錦戸君に、自分がそのような感情を抱いていることはすぐには認めたくなかったのかもしれません。少し前から、優しさをもらったり、力になってくれる度、私の心は少しづつ揺れていたのかもしれません。

 

押し込めていた気持ちをもう自覚するまでになっていました。

 

でも・・・・・・

だからと言って錦戸君は、なんとも思っていないでしょう。仮に万が一何かそこに思いがあったとしても私は、その道に進む気は全く持ち合わせていませんでした。

この半年間、周りがどれだけの傷を負って、どれだけの辛い気持ちをもってしまうのかという事を自ら体験してきたのです。

 

そして、この道の最終章には幸せとはほど遠い感情が潜んでいることも、もう確信的に知ってしまっているのです。

 

ある意味それは、ラッキーな事なのかもしれません。

 

でも、あると思うのです。

 

結婚をしていても、生涯を共にこの人と歩むと決めたとしても、色々な感情の流れからある時他の誰かを好きになってしまう事が。

夫もまた、始めはささいなきっかけだったのかもしれません。本当に軽い気持ち。

そして、たくさんの想いと楽しさがプラスされてどんどんと深入りしていったのかもしれません。

でもそれが、時として誰かを傷つけ、また自分の幸せを奪ってしまう事にこの時はもちろんの事、気づくことにはまだまだ時間が必要なのかもしれません。

女もまた、素性は謎ですがもしかすると旦那さんに心を砕いてもらえない、寂しさを抱えていたのかもしれません。私と同じように。

私が、心揺れたように寂しさの隙に、ふと暖かさを感じさせてくれる優しさがふっと入りこんできたのかもしれません。

 

心は自由だと思います。

 

予想もしていない誰かを好きになってしまう事はあるのだと思います。

 

でもその感情に、誠意を持たなければその感情は、やがて直視できないほどに醜い物へと変化してしまうのです。

 

そして、結局最後は自らを苦しめてしまうのでしょう。

 

感情に誠意を持つ。

 

言葉では、短いですが、たくさんの感情を感じとり、強い心を持ち合わせていないとなかなか難しい事なのかもしれません。