1ケ月ぶりに会う会長は、いつものようににこやかでした。
 
まぁまぁ座りなさいと会長もソファの方へ来ました。
 
その後どうだね?
 
別の弁護士さんを訪ねた事や今の状況を簡単に話しました。
 
ふむ。そうかぁーーなかなか手強いね。もう、そろそろ次の手をうたないといけないのかもしれないね。会社でも動きを見せないといけないね。
 
恐れていたことが来たなと思いました。
 
会長がボスに話して、動き出せばいよいよこのことが公になり、夫と女にそれなりの処分が下る事になるのかもしれません。

夫は、会社を辞めてしまうような気がします。

家族の為に踏ん張る力を持っていれば、もうとっくにどこかで軌道修正を図ったと思います。

 

会長から女に指摘された時にも、もう止めようと思ったのか、思っていないのか定かではありませんが、結局また流されて元通りになってしまいました。

 

夫は、自分に何も嫌な事が起こらなければ、現状このまま何も変わらない。そう分かっていても、会長の動きだしに躊躇する気持ちがありました。

 

私は、葛藤していました。

 

夫に嘘をつき続けた制裁を受けて欲しいと思う気持ちと制裁を受ければ、夫はいとも簡単に会社を辞めてしまうのではという不安が複雑に交差していました。

 

さや君。これは、家庭の問題でもあるんだけど、会社の問題でもあるんだよ。プライベートと業務とで、はっきりそこはわけないといけないと思うんだね。さや君は、家庭を考えたまえ。

今後の事を、このような事が起きた時、夫君の行動をよく見て観察するんだ。そのうえで、さや君がどうしたいか決めたらいいよ。全ては、君が握っているんだよ。君の未来だ。君が決めたらいいんだ。でも、最後の引き金は、さや君に引かせたくはないと私は思っているんだよ。

 

最後の引き金ですか?

 

そう。離婚という選択だね。矛盾していると思うんだけど、夫君が現状をよく理解して、選ばせたらいいんだ。

 

でも夫は、離婚したくないと言うと思います。そして、水面下で・・・続けるかと・・・。

 

だから、もうそれは許されないんだよ。その見極めをさや君がしっかりとして、夫君がどちらを選択しても、最後の選択は君がしたらいい。

 

この半年という期間は、激動の時間でした。たくさんの感情が動き、たくさんの事を考えてきました。その期間の中で、確かに私は何一つ決めきれていませんでした。幸せになる道を探っていたと思っていましたが、それはたださまよっているだけで、気づけばもう決断をしないといけない時期にまで来てしまっていたのでしょうか。

 

会長から出た、離婚の2文字に急に現状を思い知らされたような気持ちになりました。