仕事の方が少し落ち着いてきたから、春からは少し休みを増やしてゆっくりしようかな。

 

夫が言った一言に胸がざわつきました。

 

ゆっくりって?

 

休みを増やそうかなって事。

 

何のために?

 

何の為?だからゆっくりするためだわ!

 

何?その態度!

 

聞かなくても良いことで含みをもたせ、怒らなくてもいいことで怒り、その怒りにまた怒りを乗せるのです。

 

私には、そう思えない!ゆっくりするため?本当にそーだかどーだか。

 

なんだよ!その言い方は、だったら何だって言うんだ!

 

なんでしょうね!!

 

夫が、私の腕をぐっと掴みました。その腕を引き離そうと、私は夫の腕に爪を立てました。

力いっぱい。爪の間から赤い物がスーと流れ落ちました。

 

今度は、夫が私を掴んだままぐっと壁際に押し離しました。

 

ドンっと大きな音がして、私はそのまましゃがみこみました。

息をするのが苦しいのです。何度も息を吸ってしまう状況でした。

 

苦しい・・・。小さな声でいいましたが、夫はバタンとドアを閉めて部屋にこもってしまいました。

 

右手が痺れていました。

 

もしここで、本当に息が出来なくなっても夫は助けにはこないでしょう。

そう思うと、言いようのない虚しさが、ぐっと私の心に押し寄せました。

 

鞄をもって、裸足のまま私は車で家を出ました。

時計は、24時をまわろうとしていました。

自分を変えようと思った矢先の出来事でした。

 

友に支えられ、自分は強くなっていると過信していました。

 

平静を装っていた偽りの心は、本当は無理をしていて、それが消化できないままに

ある時、ほんの些細な事でコップが割れるように、突然壊れてしまうのです。

 

行く当てもなく突発的な行動に出てしまう事は、あるのだと思います。

衝動的に。