Xデーにむけて、またもう一度集まって話をしようという事で解散となりました。
車に乗る直前錦戸君が
遅いですから気をつけてくださいね。
と一言声をかけてくれました。もう23時近くになろうとしていました。
帰り道は、今日話した事を繰り返し考えていました。
帰宅すると、もうみんなすでに寝静まっていました。
リビングは、つい先ほどまで夫が起きていたのでしょう。
まだ暖かい暖房の空気とコーヒーの残り香がしました。
久しぶりに独りになったような静かな時間でした。
Xデーの事を自分の中でかみ砕き、色々な場面を想定していました。
花さんがすらすらと話したように、この作戦があっさりうまく行くとは思えませんでした。
夫の感情や女の感情がどう動くかは、なかば賭けのような所があり、色々な場面を想定しないと
自分が追い込まれる事の予想はつきました。
いかに夫へ自分の気持ちを伝えるかが大きなポイントだと思いました。
そこで、夫がどう思って、どう行動するかは、夫次第だと。
今までも、何度も話をしようとしましたがいつも夫はキレて最終的に怒鳴って終わります。
私の話など最初から、聞く気がないのです。おそらく、聞きたくないのでしょう。
正論をぶつけられればられるほどに、私に見せたくない罪悪感が疼くのです。
自分の弱さを指摘されたようで恥ずかしいのです。夫自身は、そんなこと微塵も思っていないと思いますが、
きっとそうだったのだと思います。その恥ずかしさを怒りという感情で封じ込め、恥をかかないように必死になるのです。
しかし私以外の人間が、その場にいればこの戦法を使うのかどうなのかは分かりませんでした。
T部長にキレたように、もしかすると安易にこの戦法にでるのかもしれません。でもそれが、自分より下の立場の錦戸君にも使うのでしょうか。
花さんと錦戸君を巻き込んだ夫との決戦はもうすぐそこまで来ていました。