私の話を聞きながら、メモをとっていた弁護士さんは話が終わるとペンを置いて私にいいました。
さやさんは、離婚は考えていないと言う事ですよね。
2人の関係を終わらせたいけど、どうすればいいかと言う事ですよね。
はい…。
うーん。僕にもそれはわからないなぁー。
・・・・・・・・。
いやね。まだ慰謝料請求したいとか目的があるば話は別だけどね。今のところそれはなさそうですしね。
いや全くないわけじゃないです。その方法も考えたいのですが。
でもWでしょう?損する可能性が高いですよ。wの場合は、夫婦vs夫婦になってしまうときがありましてね。
そうなるとおそらくさやさんは不利でしょう。
・・・・?
意味を理解していない私に、弁護士さんは図を書いて説明してくれました。
おそらく年齢からして、向こうの旦那さんの方が収入が高そうですしね。これ損しますよ。
それに、離婚するなら慰謝料の金額を多く請求できますけどね、しない前提なら金額も
落ちますしね
そもそもしたところで、旦那さんの気持ちがね。冷めますよね。
・・・・・。
それは、その通りだと思いました。
しかしながら、この問題は、私にとってお金の問題ではないのです。
どうにかして、2人の関係を切る為にこんな方法がありますよ。
とか、こんな事したら少しはプレッシャーになりますかね。
とか、その辺りの事を期待してしまったのです。
弁護士さんからしたら、離婚を考えていないw不倫は、なんの旨味も無い案件なのでしょう。
私達を通すだけ、お金の無駄ですよという感じがひしひしと伝わってきました。
それから、もうそれだけ距離が離れていれば、終わるんじゃないですかね?
もう実際に会ってないわけですし。
もうダメだ。おそらくこの後何を話しても親身になって話を聞いてくれる気がしませんでした。
最初から、はっきりとどう進みたいか意思を持たない私を弁護士さんは見透かしていたのかもしれません。
他に何かお聞きしたいことはありますか?と尋ねられましたが、もう質問する事は何もありませんでした。
場違いだったのかもしれません。
行きはすぐに着いたと思った駅までの、道のりは遠く、北風が冷たく枯れ葉を転がしながら吹き抜けていました。