女性の受付の方に、お待ちしておりました。と丁寧に挨拶され、
別室に案内していただきました。
別室といっても、磨りガラスのつい立でスペースを作ったもので、
簡単な机と椅子が置かれていました。
テレビでみる取調室のようなその雰囲気は、一層私を緊張させました。
もう少しでこちらに参りますので、しばらくお待ちくださいというと
女性は静かにそのスペースを後にしました。
約束の時間になりましたが、弁護士さんはなかなか来ませんでした。
つい立の向こうでは、数人の弁護士さんと思われる方々が、
何やら交通事故の揉め事のような件で話し合っていました。
詳細は、あまり聞こえませんでしたが、なかなか交渉が成立しないといった内容を
話し合っているようです。
私は、誰と戦う事になうのでしょうか。最も戦う気は持っていませんでした。
会長に言われたように、自分の進むべき道を探りたいだけなのだ。
そう自分に言い聞かせて、ぐっと握った拳を両ひざに置きました。
約束の時間から10分程過ぎたころ、一人の男性弁護士さんが
やってきました。
すみませんねぇ。遅くなってしまいまして。