弁護士事務所までは、駅から歩いて10分ほどの所でした。

 

6F○○弁護士事務所 と硬い字で書いてありました。

 

雑居ビルの一角を間借りしているようです。

 

3人乗ればいっぱいになりそうな狭いエレベーターに乗り、6Fで降りると

 

事務所はすぐに見えました。

狭い廊下の先に、磨りガラスがついた扉と小さなインターホンなのでしょうかブザーが隣についていました。

 

約束の時間まで10分程ありました。

 

お手洗いに行ってから、もう一度気持ちを整えようと思いました。

 

お手洗いは、エレベーターのすぐ前にあり、和式のトイレが一つだけの狭い空間でした。

 

手洗い場が、小さく取り付けられ、掃除用具入れのないそのトイレには、雑然とモップとバケツと雑巾が

片隅に置かれていました。

 

鏡をみて、もう一度髪を整えました。

 

よしっ。頑張るぞ!心でつぶやきました。

 

コーヒーショップでルリちゃんに出会わなければ、

ここまで気持ちを持って行く事は出来なかったかもしれない。

 

一度だけの出会いのルリちゃんに感謝をしました。

 

緊張している気持ちをぐっと押しこめて、扉の横のブザーを力強く押しました。