ほどなくして、花さんが会社にパートに来て、一緒にお昼休憩をとりました。

花さんは、錦戸君にはあのようなメールを送っていましたが、そんなことは感じさせることなく、いつものたわいのない話をしていました。

 

これさっ。新発売のお菓子みたいで、コンビニに売っていたの!

 

へぇーー面白いですね。冬限定なんですかね?

 

花さんは、いつも新しく発売されたお菓子を見つけてはおすそ分けしてくれます。

 

ねぇさやちゃん今度ご飯行かない?暇な時でいいから、予定教えて。

 

あっはい・・・。

 

あまり気が進まなかったです。

今の私には、食べる事や楽しむ事全ての欲がなくなっているのです。毎回花さんが持ってきて下さるお菓子だって、前はすごーい!早く食べたい!といったように楽しみでしたが、今はほぼ無関心になっていました。

 

さやちゃんの予定でいいからさ、今度できた創作料理のお店!あそこ夜遅くまでやっているから行ってみたいの!

 

あっ・・・。でも夫に確認とらないと、ダメっていうかもしれません。

 

たまにはさ、さやちゃんだって息抜きしなよ。夫さんには私からもいっておくからさ。

 

あっ。大丈夫です!たぶん大丈夫です。

 

夫には、早くから私の予定を知られたくないとおもいました。夜外出する事が分かったら、メール三昧になるのは目に見えていたので、急に出かけてやる!と思いました。

 

えっと・・・11日なら空いてます。どうですか?

 

11日ね!OK楽しみだわーーー!

 

花さんとのあまり気の進まないご飯の約束は、そんな感じであっさり決まりました。

花さんは、何か聞いてくるだろうか・・?聞かれても、何でもないです。少し前に体調を崩したのですが、もう大丈夫です。と答えようと決めていました。

 

今の真っ暗な出来事を誰かに話すのも、同情してもらうのもすべて、感情が起きるアクションに疲れてしまっている自分がいました。

その一方で、出張の逢引だけは阻止したいという思いだけが私の思考を支配して何度もその事を考えるのでした。