女と付き合って一年半、発覚から4ヶ月。
私にとっては、4ヶ月とは思えないほど、長い長い時間でした。
会長には、少しばかりのお礼の品と感謝の気持ちをしたためた手紙を添えて贈りました。これからは、もっと仕事を頑張りますと伝えて。

これからの果てしなく遠く見える再構築の道。

冷え切った夫の心を取り戻すのは、簡単ではないことは想像が、出来ました。
出来るところまで頑張ろう!

私は夫とこれからも歩んで行きたい。本心がそう思っていることに、薄々気がついていました。

その日から、私は今までに見たことのない良い妻を演じます。夫の心を取り戻す為に。

朝の珈琲を適温で出したり、行ってらっしゃい!お帰りなさい!を笑顔で玄関まで出て行う。部屋は抜かりのないくらいのキレイさです。

見たこともない凝った献立と机には一輪挿しが。

ずたぼろの心で、夫への愛情を精一杯演じました。

自分の心を置き去りにして。

夫は、相変わらず冷たさを持って私に接してきましたが、一週間程経ったある日のこと、いつものようにお帰りなさい!と言うと。

うん。ただいま。

少しにこやかに返してくれ、その後の夕食でも、今日の出来事を話し始めました。

うん。うん。そうなんだねニコニコ

久しぶりの和やかな雰囲気でした。

良い妻運動は、こんなにも早く効果をもたらしました。

なんだ、私が良い妻でいれば、夫は良い夫に戻って行くんだ!そんな簡単な事、どうして気づかなかっだのだろう。

背を向けていた、夫がこちらをむいて寝たので、近づいて抱きしめました。

今までお互い心をすれ違ってしまったけど、こうして徐々に修復されていくのかもしれないと思いながら、夫が深い眠りにつくのを待ちました。

久しぶりに心が穏やかに感じました。

大丈夫。私はきっと大丈夫。

そう思いながらも、毎日の日課となってしまったメールチェックはやめられずにいたのでした。

あれから受信も送信もされない、メールを。

応援してる。
と言う最後の送信メールを見るのが日課となっていました。