会長との電話をきり、ひとしきり泣いた後気を切り換えてすぐに夫の元へ向かいました。

女から連絡が入るでしょうし、色々話をする前に私が話したいそう思いました。

夫は、来客とやらで打ち合わせをしているようだったので、流石に女からのアクションにまだ答えてはないだろうと思いました。

応接室から出てきた夫を捕まえ、泣き顔のままもう一度応接室に招き入れました。

なんだよ・・。
とやや不機嫌そうにいう夫を無視して話し始めました。

Aさんとあなたとの件なんたけどさ。

はぁ?その話を会社でするのはやめてくれ!!業務中だぞ!

夫が小声で、キレ始めました。

私が会長に相談しました。

はぁ・・?どういう事だ?

会長にAさんとあなたの事相談しました。

・・・・。なんで・・・・。

別れてくれないから。

お前どういう事か分かってるのか・・。会長は何て?

さぁ?今頃Aさんと話しているんじゃないの?

嘘をつきました。どうかなる怖さを感じてもらうために。

可哀想・・。

え?

Aがかわいそう・・。
Aは、何もしてないのに。俺が悪いのに。

・・・・・・・・・・・・・・。

もう俺たちダメだね。さやは卑怯だ。俺たちもうやっていけないよ。

バタンと冷たくドアを閉め夫は、出て行きました。

怒るどころか女を擁護して、そして私を卑怯者扱いして、離婚とまでは言わなかったながら、そのようなニュアンスを残して出ていきました。

想定を遥かに越える冷たさでした。

会長に言った事で、夫の心は完全に離れてしまったのかもしれません。

虚しさと悲しさと絶望が一度に押し寄せてきました。

窓から見える青い空に浮かんだ雲は、次第に形を変え、薄く消えていきました。

私達夫婦の心みたいに。