本日はカフェイベント魔法藥局カニバル第一日目です。
ギリギリですが、今年の新薬をもう一つ紹介しておきます。
キマイラの血管です。
キマイラは中世に盛んに語られた幻獣で、『イーリアス』第六章では
前方は獅子。
真ん中は雌山羊。
後ろは大蛇。
口からは炎を吐く。
と書かれています。
これは海に落ちたキマイラの血管。
研究者によれば、キマイラが棲息していた地域の火山の大噴火によって、多くのキマイラが飛ばされて海に落ちたとされている。
キマイラの血管はとても丈夫で火山の炎にも焼かれず、海の水にも朽ちることはなく、永い間残されていた。本薬はその血管を採集してきたもの。
不思議なことに、キマイラの血管付近の海水も固体化されていて、よく見ると、海水中の気泡までが残されている。
壜の底の欠片は、キマイラの血管と一緒に採集される光る硝子の欠片。
一緒に保存しておくと、キマイラの血管の薬効がさらに増すといわれている。
薬効については6月中旬発行予定の『魔法藥局図鑑(改訂版)』をご覧ください。
海水部分と光る硝子の欠片(ウラングラス)はブラックライトで蛍光します。
海水に含まれているという設定の気泡は、蓄光します。
きらら舎ではキマイラと表記しましたが、キメラと呼ばれることも多くあります。
よく考えればありえない形で、最終的にはラブレーの有名な洒落にも登場し、「不可能なこと」の喩になりました。
現代ではキメラといえば生物学において、同一の個体の中に別の遺伝子を有する細胞が存在する状態を指します。
今回、血管のようなこの魔法藥オブジェを作るにあたり、昔、双子の研究をしていた知人の話を思い出し、血液キメラとかヒトキメラなどという単語が登場していたので、血管→キメラという安易な発想をしました。