2年ほど前になるでしょうか。
お付き合いのある活字屋さんから、活版印刷のイベント用に作ったというカードセットを10セットほど仕入れました。
販売の機会がないまま、ずっと保管していたものを、出してきてみました。
いろいろな「ありがとう」が盛り込まれた組版による活版印刷のカードです。
1枚、撮影しそこなっていますが全部で6枚+封筒です。
のちほど、きらら舎にてセール販売します。
きらら舎では活字の、お裾分け的販売をしています。
卸として入荷販売しているのではなく、実際に買い付けに行って、時には自分で拾って活字を購入しています。すでに製造が中止されたもので、母型があるものは鋳造してもらったりもしています。
販売は、その、お裾分けです。
もともと、活版活字はそのフォルムが好きで、さらに金属の重さや冷たさに惹かれて蒐めていました。
また、『銀河鐵道の夜』でジョバンニが活版印刷所でアルバイトをしている描写などにも惹かれる原因があったかもしれません。
骨董市や骨董屋さんでも時々入手ができるのです。
これを最初はスタンプのように使い始めました。
鉱物標本や豆本にぴったりだったので、活字屋さんへ買いに行くようになりました。
一時は衰退の一歩を辿っていた活版印刷が少し前のレトロブームのおかげか、だんだん見直されはじめ、「わたしもほしい」という方が多くなったので、お裾分けを始めました。
ただ、本来、活字は組んで、印刷機で印刷するのが正しい使われ方です。
イメージとしては活字というブロックを組み合わせて大きなスタンプを作るのが組版。
ただ、活字を並べるだけではありません。
文字と文字の間隔を広げたい場合や行と行の間に余白を設けたい場合。
文字の書き出しを下げたい場合。
行のおしまいに空白がある場合。
・・・・・そんな「空白」にも、インテルとかクワタと呼ばれる、空白を作る道具がつかわれています。
(余談ですが、インクがしみた小さな標本箱は、その木製インテルで作っています)
この空間を作るのが職人技で、前述のカードはそれがよくわかる逸品です。
本当の活版印刷は、やっぱり組版だよなあ~と思いながらも、豊富なフォントとコンピューター上で版が作れる手軽さに負けて、最近はもっぱら亜鉛版での活版印刷をしています。
たとえば、こんなカード。
亜鉛版で活版印刷をしているので、オフセットや孔版印刷に比べると、凹みがあって(わざと凹むように印刷してもらっています)味があります。
フランスのアンティークカードの枠をイメージしたこんなデザインも、亜鉛版で作っておいて、中の文字を活字で手捺しすると、美しいラベルになります。
この枠を本来の方法・・・・・罫線(金属の細い板)を使って作り、組んで印刷したラベルはこんな感じ・・・・・
どこか懐かしい匂いがします。
とりあえずは、組版はプロにおまかせして、わたしは亜鉛版をベースに活版印刷物を作ることにします。
次回の亜鉛版入稿は27日です。
次回、亜鉛版の入稿は27日です。