日本産の小さな小さな水晶の双晶です。
実はずっと前に入荷していて、何個かはミニチュア試験管入りにしてカフェで販売したのですが、それには入らなかったサイズ。
理由あって、ずっと販売しないまま在庫箱で眠っていました。
日本式双晶というのは、水晶の結晶が84.33度で接合している双晶です。
明治時代に日本で多く産出したので、ドイツのゴールドシュミットが日本式双晶と命名しました。夫婦水晶と呼ばれることもあります。
世界で最初に日本式双晶が見つかったのは実はフランスのドフィーネで、最初に見つかった時にはハート水晶と名付けられました。
双晶に関して、以前、十字石なども含めて交わる角度をいろいろ調べたことがあります。
それで、前述の接合角度を「約85度」と書かずに、わざと詳細に書いてみたりしたわけですが(三角関数を用いた計算式で産出している角度なので小数点以下2位の数字は4と表記される場合もあります)、
日本式双晶の接合角度について調べていた時、多くの書物で「(1122)面で接合する」と書かれていました。
この表記は、英国の鉱物学者ウィリアム・ハロウズ・ミラー (William Hallowes Miller)さんが考案したもので、
立体の軸をxyz(結晶学ではabc)として(111)などと表記されます。
数字が4つあるのは、水晶の結晶構造によるため・・・・・と、細部まで書いていると、鉱物倶楽部の理科時間みたいになってしまうのでやめますが、
この(1122)面というのは、水晶の結晶に稀に出現する面なのです。右水晶と左水晶を識別する際に手がかりとするx面やs面でもなく、ξ(クシー)面と呼ばれています。
とにかく、この稀なる面で接合する日本式双晶がどうも気になり、ずっと手元にあったわけです。
小さいのに、接合角度は同じです。「ふーん。」と眺めて2年以上経過しました。
双晶の2つは左水晶と右水晶なのだろうかとか、
違う角度ってないのかとか、
ξ面を持つ水晶探しとか・・・・・
いろいろやって、そろそろ気が済んだので販売することにしました(笑)
水晶の日本式双晶は接合している結晶の形によって、V字、ハート、軍配と呼ばれます。
この中からハート型に見えるもの(V字もふくむ)を厳選し、小さな標本壜に入れました。
標本壜のサイズは直径18mm。高さ(壜部分)30mm。
これに、黒い原毛をフエルト針でチクチク固め、詰めました。
それを台に1欠片、そっと乗せ、上からドーム型硝子を乗せました。羊毛がクッションになっているので、小さなペーパーウエイトみたいな硝子ドームを乗せても大丈夫で、硝子ドームのレンズ効果で、小さな小さな結晶が少しだけ拡大して見えます。
土曜日のカフェ(13日)で販売します。