先日の鉱物・標本カフェで発行した『鉱物手帖01』の補足を「鉱物倶楽部」のWEBページに追加しました。
http://kirara-sha.com/ID1/club/
今回の『鉱物手帖01』では水晶を取り上げていて、その螺旋についての雑学話も掲載していますが、本当は現在の付録(両錐水晶かミニチュア試験管入人工水晶)以外に、水晶球のコノスコープ像が見える観察箱セット付きのものもオプションで付ける予定でした。
すっかり失念したまま、今日に至りました。
それで、観察箱セットだけ別に販売することにします。
水晶(石英)は一軸性結晶(単軸性結晶)なので、光学軸に垂直に偏光板ではさむとコノスコープ像を見ることができます。
水晶は伸長方向に螺旋を描いて成長すると『鉱物手帖01』に書きましたが、この伸長方向(c軸)は旋光性を示す光軸にもなっています。
自然光は電場が光の進行方向に対して垂直方向ではあっても、その条件下ではあらゆる方向に振動する成分を含んでいます。この中から一方向に振動している成分だけを取り出すのが偏光板です。
難しい話は専門家の方に任せるとして、雑学的に説明すると、偏光板を通して風景を見た場合、やや暗く見えます。これは、そこを通過する光が制限されたからです。さらにもう一枚の偏光板を偏光の方向(透過軸)が垂直になるように重ねると、真っ暗になります。これは光が完全に遮断されたためです。
この2枚の偏光板の間に水晶球を入れる(正確には2枚の偏光板とc軸が垂直になるように入れる)と、水晶は偏光面を回転させる(旋光)ので虹の輪が水晶球の中に見えるわけです。
この輪をコノスコープ像といいます。
この同心円状の虹の輪に重なってぼんやりと黒い十字が見えます。これをアイソジャイヤ(isogyre)といい、この十字の中心がc軸(光学軸でもある)です。
使い方としては、箱の上を開けて、偏光板が重なる角度(箱の細長い方の面)から中を見ます。
箱を少し傾けて、水晶球が向こう側の隅に落ち着くようにし、指でコロコロと向きを変えます。
すると、ちょうどc軸が眺めている方向と垂直になった角度で水晶球の中に小さな虹の輪が現われます。
とても小さいので、ルーペなどを用意しておくとじっくり観察ができます。
2枚の偏光板は偏光子と検光子で、検光子側に1/4波長板をはさむとこの輪が巴のマークのように渦を巻きます。それが水晶の螺旋です。
カフェにそれを観察する道具がありますので、ご来店の際には観察してみてください。