一番最初に「自分の石」としてコレクションに加わったのがアメリカイリノイ州産の螢石でした。
職人さんが劈開を利用して正八面体に割ったものです。
とても青く透明な小さな欠片は、買ってもらった浅草の夜店のアセチレンランプの下でキラキラと輝いていました。
まだ小学生の頃のことです。
それから13年以上たって、日本でミネラルショーなるものが開催されるようになりました。
当時、蛍石はミネラルショーでのお手軽なお土産でした。
今から22年前のこと(計算はしなくてよろしいよ~)。
きれいだなと思う鉱物はなかなか手がでる価格ではありませんでしたが、1つ100円もしなかった蛍石は気軽に買えたのです。
八面体に割られているものはほとんどアメリカイリノイ州産のものでした。
青や黄色や紫やピンクや、、、、、なんとなくチープでジャンクな匂いのする可愛らしい石でした。
それから少しして、ニューメキシコ州産のものや中国産のものも目につくようになりました。
ニューメキシコ州産のものはイリノイ州産のものに比べて、色が濃くってカラフルでしたが透明度は劣りました。
ちょうどイリノイ州産のものがゼリーであれば、ニューメキシコ州産のものはグミといった感じ。
しかし、イリノイ州の蛍石鉱山は1995年に最後の1つが閉山して、その歴史を閉じました。
市場に出回るイリノイ州産蛍石はどんどん減少し、価格は高騰し、色は薄くなり、青や黄色のものはあまりみかけなくなりました。
郷愁に浸った前置きが長くなりましたが、小学生の時に手にした一つをきっかけに、八面体蛍石のコレクションは増殖し、貯金ならぬ貯石状態になっているものは何度か紹介してきましたが、ここ数年は、貯石壜の中味も増えることはなくなっていました。
ところが今日、出会ってしまったのです。
行方不明になって再会を諦めていた恋人に出会えたような気分と、その価格のヤバさで詳しく聞くのを忘れてしまったのですが、恐らく、デッドストック。しかも、いいものを着服状態で所有していたものを放出したと想像されるようなものです。
このくらいの色のものが、最近入手できるぎりぎりの色でしょうか。
この水色は、最近ではほとんど会えない色。もっと薄いものは何とか在庫として持っていましたが、それよりもずっと濃い色です。
さらに濃い、この青色は久しく会えなかった青。
ニューメキシコ州産の「青色蛍石」とはまた違った青で、透明度もはるかにこちらのほうが高いのです。
これは濃い紫の小箱。
濃い紫に分類されてはいますが、紺色というものも多数あります。
そして一番驚いたのが、この黄色。
もともとイリノイ州ではいろいろな色の蛍石が採れましたが黄色はその割合がほかの色よりずっと少ないものでした。それが、こんなに濃い黄色のものが、まだこんなにストックされていたので、
「いいものを選別して保管していたのだな」と思ったのでした。
きれいかどうかは別として、さらに珍しいものがありました。
黄色と紫のツートンカラー。
たくさん出回っていた頃にはよくあった色なのかもしれませんが、当時はきっと選ばなかったのでしょう。コレクションには1つもありません。
大きめなものもあります。
大きなものになると、ひびが目立ってくるのですが、結構、きれい。
そしてとっておきがこれ。
この透明度でこのサイズは本当に珍しいと思います。
劈開するに、この数倍の蛍石の結晶が必要です。それを想像すると、とってもとってもすごいことです。
大きな八面体螢石はいくつか所有していますが、握って「右と左、どっちに入っているか??」なんてことができるサイズですが、これは片手で持ってもはみ出します。
しかも透明度も高い。
これらの蛍石の販売はエンジェルフェスタから少しづつ行いますが、一番でっかいものはとりあえず、年明けまで販売しないで眺めていようと思います。
カフェに置いておきますので、ご来店された方はぜひ、眺めてみてください。