チョコレートの中に翠色のゼリーを閉じ込めたような和菓子風鉱物2種です。
アダム鉱は今回の標本も、ですが、メキシコの Ojuela鉱山でたくさん産出されます。それで、市場でみかけるものはほとんどがメキシコ産なのですが、この鉱物が最初に発見されたのはチリです。
その翠色はやや渋い色合いですが、ブラックライトで蛍光します。
昼間、明るい室内で撮影したので、部分的にしか蛍光を撮影できませんでしたが、暗い処では結晶全体が鮮やかな翠色に蛍光します。
(ブラックライトを照射する際には、ピンポイントのものではないものでお試しください。)
もう一つはアナパ石。
実はお菓子風な外見が似ているというだけで、全く違うものです。
アダム鉱が亜鉛と砒酸と水酸基からなる鉱物なのに対して、アナパ石は鉄とカルシウムと燐酸塩からなる鉱物です。
スペインやウクライナが産地で、今回入荷のものはウクライナ産。
希産鉱物のひとつですが、それほど稀少なものでもなく、時々入手できる機会があります。ただ、ほかの鉱物のようにいつでも見かけるというものでもありません。
アナパ石の標本は貝の化石と共存しているものがとても多いのですが、貝がアナパ石を形成したのか、単にカルシウムを提供したのか、環境を提供いただけなのかは現在研究が進められているようですが、まだ解明されていません。
今回の標本は2つで、1つは貝の化石がはっきりとわかるもの。
標本の裏面にも貝の化石が出ています。
もう一つは、風景のあるもの。
この石については裏ブログ(きらら舎日誌) にも登場します。