抽斗の中から、ヒゲゼンマイが見つかったので、発条ヴァージョンを作りました。
発条といっても、「発条の抽斗」のものではありません(抽斗にあったものは動力用の発条です)。
以下、いろいろな発条。
ヒゲゼンマイはこの中の一番小さなもの2つ。
その2つの右にあるものが螺旋巻き式腕時計の動力となる発条です。
ヒゲゼンマイはテンプという、時計の振り子の役目をするものにくっついています。発条というより渦を巻いた「毛」のようです。
ヒゲゼンマイが長いほどテンプはゆっくりと振幅し、ヒゲゼンマイが短いほどテンプは速く振幅します。
つまりヒゲゼンマイの長さを変えることによって時計を進めたり遅らせたりすることができるというわけです。
そんな蔓性植物の新芽みたいなヒゲゼンマイを入れたスコープは、不思議な渦巻きの模様となります。
ところで余談ですが、動力となるほうの発条が入っているものを香箱とよびます。
(ちょっと粋なネーミングです。)
上の写真は香箱に入った状態です。
そして、こちらの発条を香箱から取り出すと、勢いよくびよ~~~~ん!と跳ねてS字になります。くるりと巻かれて袋に入っている発条も同様に、箍をはずすとS字に伸びます。
普通に考えれば、強く巻かれているものが、伸びれば巻きがゆるくなるだけのような気がしますが、発条は各部分が受ける力を均一にするために外側を逆に巻いているのです。
よく考えられています。
たしかに巻き締められたゼンマイは中心部ほど強い力で押さえつけられているわけで、元に戻ろうとする場合、中心部がより強く早く(速く)伸びることになります。そうなるときれいにほどけず、しかも飛んでしまったりする場合もありそうです。
しかし、外側を反対に巻くことで渦の中心に集中する力を分散するのです。
発条の正体はS字なんだ、、、、、、と思いながら、すまして渦になっている発条を眺めるのも、やや楽しいです。