ステルクララに作った『言葉を売る店』。
特装師イサさんとのコラボショップです。
架空の街ステルクララでは『言葉を売る店』は、薬屋さんであり、病院であり、占い屋でもあります。
売っているのは「言葉」。
実際には活版印刷の活字を、いろいろなパッケージにして販売します。
前々回に紹介したのはオリジナルニードルケースに入ったもので、「螢」とか「月」とか「青」など、漢字一文字だけを入れたもの。
イサさんとのコラボ商品は、単語シリーズで、その言葉を演出するパッケージ入です。
ところで、活字。
活版印刷の風合いがとても好きで、これに使われる活字自体も金属の小さなスタンプのようなので可愛いのです。
活字好きは、小学生の頃、『銀河鉄道の夜』を読んで、これに登場する活版所の風景に興味をもったところから始まります。『銀河鉄道の夜』でジョバンニが活版所でアルバイトをし、銀貨を1枚もらう場面です。この時、ジョバンニが手渡されて活字を拾っていく「平たい箱」は文選箱といいます(これもルーチカカフェで販売します)。
活版印刷の趣はなんといっても、文字の凹みです。そして、行間。
写植やDTPでは行間や余白は、ただタイピングする時に隙間を空ければいいだけですが、活版ではインテルやクワタなどで作りだします。活版印刷で印刷された古い書物を眺めていると、すっきり空いた空白に、インテルやクワタの存在が感じられます。
実用性を考え、コンピュータの手軽さと比べると、今さら活版で長文を印刷してみたいとはなかなか思えませんが、言葉を売る店では、行間や空白にも気持ちをこめて、単語を捺したいと思います。