甲状腺専門病院の受診2回目。

もう妊娠8、9ヶ月頃だったと思います。


血液検査を済ませ、結果が出てから診察です。

前回の血液検査の更に詳細な検査結果についての説明がありました。


私の場合、甲状腺刺激ホルモン値は正常の範囲だが、FT3のみが高い珍しい型、稀にそういう人もいる、と言われました。

また、あなたの場合は、もしかしたら妊娠前からバセドウ病だったかもしれない、とも言われました。


そう言われて、私には思い当たる節がいくつがありました。


まず、妊娠前…いいえ、結婚前後から、とても疲れやすかったこと。

結婚の準備が忙しいせいだと思っていましたが、結婚後もその状態が長く続いていたので、私は主婦になってだらけてしまったんだな…と思いこんでいました。

どんなに頑張っても朝起きられず、毎日昼近くまで寝ていたからです。


バセドウ病は不眠症になりやすく、「グッドモーニングがない病気」と言われているということを後で知りました。

元々神経質で寝付きが悪く、仕事も不規則だったため気付きませんでした。


思い当たる事はもう一つありました。

仕事を辞める前の年の健康診断だったと思います。

職場の看護師さんに、検査の値について心配されたのです。

「さあやさん、疲れてるんじゃない?」と。

「肝臓の値が悪いです」と。

なんでも、お酒の飲み過ぎの人とは違い、疲れている人が高くなる数値が高くなっているのだと。

その時は、夜勤もある仕事だったので、単にそのせいで「疲れているんだろう」と思っていました。


さらに、月経や妊娠にもあまり影響がなかったため、妊娠中期になるまで気付かなかったのかな…と。



だとしたら、お腹のこの子は私の病気を知らせに来てくれたのかもしれない…


そう思うと、涙が出ました。


…そうだ、私はこの子の母親なんだ。

病気に負けてはいられない。

落ち込んでなんかいられない。

この子を守れるのは私しかいないんだ!


そこからは、母として強く生きよう、自分はひとりじゃないんだ、と考えるようになりました。


そこから出産までは順調でした。

予定日の1日前の真夜中に、微弱ながら陣痛が始まり、少しずつ強く、間隔が狭くなっていきました。


しかし、初産のためなかなか良い陣痛がつかず、陣痛室で待つ間、私の後から陣痛室に来た人が先に分娩室へと何人も通り過ぎていきました。

夫も「仕事があるから」と早々に帰っていきました。


朝ごはんを食べ、昼ごはんを食べ終えた直後、急に物凄い痛みが腰を襲いました。


痛みを何とかやり過ごそうとしていると、お昼ごはんの食器を下げに来た看護師さんが異変に気付いてくれました。

「大変!もう全開大になってる!」


…痛みにこらえるのに必死だった私は、ナースコールを押すことを失念していました。


「次の陣痛が来るまでの間に分娩台に乗りますよ」と言われ、肩を支えられてヨロヨロと分娩台まで歩きました。

陣痛室から分娩台は、とても長く感じました…。


分娩台に上がると、もう出産まではあっという間です。

助産師さんの指示通りにイキむと、パシャッと破水して長女が誕生。

真っ昼間だったので、多くのお医者さんや看護婦さん、助産師さんが出産を祝福してくれました。

立ち会うはずの夫も間に合わないくらいのスピード出産でした。


次回からは、産後の再発の話をしたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


DROBE