グリーが「セクハラ・パワハラ体験VR」を開発したというニュースを見ました。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1906/10/news025.html

これがもし実装されたとして、世の中のおじさん達が、
「おじさんにセクハラされている女性社員」として
VR体験することを想像すると、なんとも言えない気持ちになりますね。

記事の中で仕掛け人の岩永さんが
漫然とした受け身の研修は“壮大な時間のムダ”。そうしたムダをなくしていきたい。
とおっしゃっていたのが印象的でした。

なぜ体験型の研修(アクティブラーニング)が注目されているのか、どんな効果があるのか、について私の研修の体験も含めて紹介していきます。
 

 

 

 

セクハラ・パワハラを体験型で学ぶメリット(グリーの場合)

セクハラ・パワハラを体験型で学ぶメリット(グリーの場合)

セクハラ・パワハラって基準が難しいですよね。

そんな中、VRを使った「体験型」で学ぶメリットは、「しているほう」になる前に、

「されるほう」の体験を通して何が問題で、何がグレーゾーンなのかを学べることです。

セクハラを「しているほう」は、「されたほう」の気持ちがわからないという難しさもあります。
パワハラを「している」「されている」と感じるのも、それまでの経験や文化の違いによる部分もあります。
同じ下ネタでも、「福山雅治や星野源だったらオッケー!」という人もいらっしゃいます。それは見た目やイメージによって相手に与える印象が違うからですね。

結局は「されたほうがどう思うか」ということが全てで、
「されたほう」の経験や感受性に関わることからグレーな部分が多いと思います。

女性から男性に行われるセクハラも存在しますが数は多くない、
だから男性はセクハラを「されるほう」の体験が少ない傾向にあります。
同様に、年次を経て会社の中で偉くなったりリーダーになったりすると、
上司からパワハラを受ける経験が減るように思います。

ハラスメントを経験したことがない、認識に乏しい方にとって、、
研修にVRを取り入れることで女性がどんな目線で物事を見ているのか、
嫌な思いをするのだとすると、なぜなのか?を
どんなところがもやっとするのか?をわかりやすく伝えることが出来そうですね。
 

 

 

「体験型」の講義は「学習の定着率」が150%程度アップする!

突然ですが、「どうせお金を出して研修を受けるんだったら、しっかり学んで元をとりたい!」と思う方にとっては、
体験型(アクティブラーニング)の研修に参加すると、学んだことが定着する割合が高くておすすめです。!

『ラーニングピラミッド』と呼ばれている、アメリカ国立訓練研究所という機関が発表した図があります。
これは、学習方法による知識の定着率の違いを示した図です。

講義、読書、討論、体験型、など、教育のメソッドにはいろいろあります。
各メソッドを使って学習をした時に、「学習の定着率」に違いがあると言われています。

ラーニングピラミッドでは、「学習の定着率」の比重を高いメソッドを下から積み上げて、
学習の定着率が高いメソッドがどれかがわかりやすいように明示されています。
 

画像引用元:https://career-ed-lab.mycampus.jp/career-column/707/

 

ラーニングピラミッドを見ると、講義〜デモンストレーションまでの「受動的学習」よりも、
能動的学習(アクティブラーニング)にあたる「グループ討論」「自ら体験する」「他の人に教える」ではより高い学習効果が得られることがわかります。

グループワークやクラスディスカッションなど、能動的に講義に参加することにより、効果的な学習を得ることができるのです。

「自ら体験する」だけでも75%の定着率!!
対して講義はなんと5%(汗)

なお、「学習の定着率については、根拠があいまいである」
「全ての学習にあてはまるものではない」という意見もあります。
なので実際に何%の定着率があるのか、については全てを鵜呑みにするのは危ういと思います。

しかし、教育手法としての「アクティブラーニング(能動的学習)」は、
ハーバード大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)などの実践を踏まえて注目されていることもあり、その全てを否定するのも難しいと思っています。

こうしたことを踏まえると、今まで会社で行なっていた「受動的」な研修について、
岩永さんが「壮大なムダ」というのも頷ける気がしてきました。

 

 

 

感情が行動を引き起こす!

学習効果があるとわかったところで、ただ学んで満足では意味がないと思っています。
学んだことを、実践して体得して、自分のものにすることが大事です。

例えば、くりぃむしちゅーの上田さんばりに、学んだ知識や内容を饒舌に語ったところで、「ふーん、それで?」となっちゃう経験がある方をお見かけしたこともあります。。
(主に合コンでモテようとする、マジメな男子をイメージしています(笑) 頑張る姿勢自体は応援したいのですが、、、)

場合にもよるのですが、研修に参加して「俺こんなこと聞いたんだけどさー」と言う人よりも、
その学んだ知識を体得して仕事に活かしたり、実際の行動に役立てている人のほうが素敵だなと思うのです。

そんなことを思って、ネットをうようよしていると、
脳神経科学に関する面白い記事を見つけました。

脳神経科学が解き明かす感情と行動と成果の秘訣
https://mirai.doda.jp/theme/neuroscience/emotion/

理科を中学校で諦めた私には頭から煙が出そうな感じでしたが、要約すると
「感情が行動を引き起こす」ということらしいのです。

大きく日常とかけ離れた「刺激」を得るほど、
ドーパミンが放出され「行動」と「学習」が引き起こされる可能性が高まる、
と記事には書かれていました。

体験型の研修は非日常のシチュエーションで刺激を得ることが出来て感情を揺さぶるので、
行動や学習に繋がりやすいという点でもより効果がありそうです。
 

 

 

私の心を揺さぶった、超体験型の研修ASKアカデミーのベーシックコース

私の経験した体験型の研修と、実際受講してみてどうだったかをお話しします。
ASKアカデミー・ジャパン株式会社(以下ASKアカデミー)のベーシックコースという研修です。

http://www.ask-gc.com/course

内容はというと…研修上のルールがあり、言えないんです。
なんとも歯がゆいですー!!

ホームページには
「自分にとって何が強みであり、改善すべきポイントが何であるかを明確にします。また、今まで以上により目標達成のプロセスを明確にします。」
と案内されています。

体感をお伝えすると、いろんなアクティビティがあり、
本当に色んな感情を揺さぶられる研修でした。

もちろん、悪口を浴びせられたり、謎の呪文を唱えたり、ということではありません。
しかし、仕事やプライベートの現状、過去、未来、などについて本気で考えて、
どのように達成するのかを明確にする「産みの苦しみ」があったのです。
(ちょっとトラウマチックだったことも自分なりに振り返ったりしたのです)

ベーシックコースは3日間あるのですが、
長くもあり短くもあり、濃厚な時間でした。
人との接し方や考え方、自分の人生の本当にやりたいことを見つけることができました。
自分の人生は自分で決めることができる!と本気で思えた研修でした。
あの時の記憶は今でも忘れられませんし、何かあった時に研修で学んだことを思い出して行動することがあります。

日本の中小企業で休みなしで働いていた私ですが、
それからほどなくして外資系の会社に転職ができて、時間が増えて給料も上がりました。
だらだらと同棲していたフリーターの彼氏とも別れました。

これからは、新しい恋、結婚、仕事、全部取りしてやろうと思っています(笑)

詳細を語れないこともあって恐縮なのですが、
これはもう体験することでしかよさが伝えられない部分もあるのですが、…!
体験型の研修が行動や結果に繋がるということは、私自身が実感していて、
なんとか皆様にも伝わらないかなーと思っていろいろ書いてみました(笑)
 

 

 

最後に

偉そうに聞こえたらもうしわけないのですが、
私は、これからも体験型研修がより注目されていくのではないか、と思っています。

先に紹介させていただいたグリーは、
他の研修にもVRを取り入れようと考えているようで、
こうした流れが加速していけば、研修の内容にもっと幅が広がっていきそうです。

「セクハラ・パワハラ体験VR」は自分の会社の研修でも導入してもらいたい(笑)
これにゲーム性が加わってバッドエンドとかできたら面白そうですね。

面白そうな研修を見つけたら私も体験したいと思いますし、
もちろんこのブログで紹介させて頂きたいと思います!


アクティブラーニングについて、記事内に載せきれなかった参考ページ:
https://www.nucba.ac.jp/active-learning/entry-17091.html

レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000166891

国立国会図書館カレントアウェアネス「「学習のピラミッド」モデルというゾンビ(記事紹介)」
 http://current.ndl.go.jp/node/25242