【 相続 】 きょうだいは他人? | 行政書士ノチカラ

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東京港区のインドネシア専門行政書士 廣瀬さやか のブログです。

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民法の勉強をしていた時から、ずーっと腑に落ちないことがありました。

それは、“きょうだい(兄弟姉妹)”に対する考え方です。

例えば、こんな規定があります。

○ 相続における遺留分がない(民法1028条)

※遺留分(いりゅうぶん)とは・・・
配偶者・子・父母は、相続財産のうち最低限確保される割合が定められています。
この割合を「遺留分」といいます。
それは、これらの相続人の期待を保護すると共に、残された家族の生活を保障するためです。


○ 近親者固有の慰謝料請求権がない(民法711条)

※被害者が死亡したとき、その父母・配偶者・子は精神的苦痛を受けたとして、加害者に対して慰謝料を請求する権利があります。
ただ、判例上、「父母、配偶者、子」以外の近親者にも類推して認められているケースはあります。


○ 扶養義務がある(民法877条1項)

(遺留分や慰謝料請求の権利はないのに、扶養義務はちゃっかり課すなんて、
ちょっと都合が良すぎないかい?と個人的には思いますが・・・)



私には9歳上の兄がいます。
歳が離れているせいか、とても可愛がってくれて、
兄であるとともに小さい父親のようでもあり、小さい頃から大好きな存在でした。

だから、兄にもしものことがあったとき、
妹である自分は法律上の立場がすこぶる弱いことにショックを受けました。
納得できないながらも、「きょうだいは他人」と無理矢理覚えていました。


でも、
最近、無料相談会で相続の相談を多々受けるうちに、
「きょうだいは他人」という感覚が少しわかるようになってきました。

相続の多くは、きょうだい間でうまく行かなくなっています。
しかも、きょうだいにそれぞれ配偶者がいると、さらにごちゃごちゃしてきます。

小さい頃は一つ屋根の下で暮らしているから、とても近い存在だけれども、
成長するにつれ、それぞれの道を歩んでいきます。
考え方や価値観もそれぞれ変化していきます。
さらに、結婚しそれぞれが家庭を持つようになれば、守るべき優先順位も変わってきます。

きょうだいのカタチはそれぞれで、「他人」と割り切ろうと思っても割り切れないところがあり、一概には言えないのがまた難しいところです。


ただ、共通して言えるのは、

「親御さんの遺言さえあれば、こんなことにはなかっただろうに・・・」

ということです。

● うちのきょうだいは仲が悪い!というケースはもちろん、

● うちのきょうだいは仲良しだから大丈夫!という場合でも、

ムダな争いを避けるために遺言を残しておいてほしいと思います。

相続として突如財産が降ってくると、人はコロッと変わってしまうものですから。


なーんて、エラそうなこと書きましたが、
きょうだいとの関係を考えるきっかけになれば幸いです。