ぐるぐる廻る感情の渦のなか
カメの順番もめぐってくる訳で…
先の男性二人が無事に試験を終え、いよいよカメの番!
何とかやるしかないのだ❗
『発進します。』
猫かぶりの声はそのままに、ゆっくり車を進める。
まずは、教えられた通り、縁石から20センチに付けて進入
奥の縁石と。自分の肩が並んだら止まる…
ん⁉
見えない❗
試験官の座る助手席のイスが目一杯下げられていて
もろに試験官が邪魔で見えない❗
私は小さく訴えてみた『あの💓』
『あ!見えない?じゃぁ、はい!これなら見える?』
試験官、前に体を倒し前屈姿勢をとってくださった。
はい。見えました!
教えられたポイントより前に居たので、少し 後退
40歳が出来る最大限の可愛さで『ありがとうございます💓』
さあ、ここからです!
バンドルを右に全部切って…前進3.5秒(⬅私はこのマニュアルにずーっと疑問を抱いていたが、今となってはこのやり方しか知らないので、実行するしかないのだ…)
バンドルを2周戻して、さらに前進
教えられた、「奥の縁石」が全く見えないけど!
そんな教わり方しかしてないけど!!
やるしかないのだ❗
ゆっくりゆっくり…
この位かナァ~…
よし!ギアを『R』に入れて、安全確認して、バンドルを入る方向に全部切って!
いざバック!行ってみよう!
『ピーっ、ピーっ、ピーっ、ピーっ』
ゆーっくり後退していくプリウスの車内
バック音が合否の判定音に聞こえます…
あれ?アレアレアレ~?
右の縁石、メチャメチャ近くないですか⁉
近いどころか、このまま行くとタイヤと縁石擦りますかね~
冷静を装いきれず、ちょっとアタフタすると
『三回まで切り返していいんだよ。大丈夫?三回まで切り返せるんだよ!やり直していいんだからね!』
試験官の声に我にかえり
『はい。では、戻ります』
もうすでに、バンドルを左右に回しすぎて、タイヤがどこ向いてるかわからなくなっていたので…
一旦深呼吸。
バンドルを入る方向に切って来たから…
左に切って、ギアを『D』に入れて…
ゆっくり前進したら…
お~。戻ってく戻ってく。
ギアを『R』に入れた所まで戻れた🎵
よし、ではさっきは前進が足りなかったから少し前進して~
再度ギアを『R』に入れて…
『ここじゃダメだよ~!もっと前進しないとさっきと変わらないよ!』
試験官、いてもたっても居られなくなったのか
ついつい教えてくれてしまった⁉
『……はい』
こうなったら、素直に聞いて、試験官の気が変わらないうちに済ませないと❗
もっと前進して。
ギアを『R』に入れて
安全確認して
入る方向にバンドル切って
いざバック!
入った❗
ぴったり!ど真ん中❗
さ、入ったらさっさと出ましょう🎵
これは、車庫入れではないので、方向変換が出来ればいいんです!
右にバンドルを切って、もと来た道を戻ると…
『終わった? じゃ、三人とも合格ね。』
あの~…私、かなりのオマケなんじゃ…
心の中でそう思いましたが…
実際、2回しか切り返してないし☺
ちゃんと真ん中に入ったし!
でも、ちょっと不安になって
車を降りて、同乗していた受験者の方にそっと聞いてみたんです
『試験官、私に甘かったですよね…』
するとその方、笑ってこう言われました
『そうですね。でも、いいんじゃないですか?合格、頂いたんですし』
そうですね☺私、合格したんですよね❗
気がつくと、コース内には雨が降り始めていた
そう言えば、仮免許に合格したときも優しい雨が降ってたなぁ…
こうして、皆様に温かく見守られ、カメ劇場第二部も無事に幕を下ろすのでした。