今回の作品は本当に新感覚というか、今までにないライブ感、みたいなものがあって…
作品そのものが生き物のように呼吸して、やる度に形を変えるようで、毎公演セリフやシーン、相手のお芝居の響き方・受け取れ方が違うんです。
オランプなら特に、ロナンやアントワネット様ですね。
もちろん今まで出演してきた舞台も、いつも新鮮にやるように心掛けてきましたが、ここまでは初めて。
ある意味お稽古場の時の初心を忘れずにやれているし、お稽古→プレビューから物凄く掘り下げられたシーンもあったり、これは舞台の面白いところですが、演出から外れない範疇で色々試してみたり。
東京千秋楽を近くに控えながら、まだ発見が尽きないなんて、お芝居の面白さは天井知らずだなぁと。
ずっとご一緒したかった小池修一郎先生の潤色、演出は本当に凄い。
とんでもなく勉強になりました。
ミュージカルだから歌での表現はもちろんなのですが、今回はとにかく演じる事において、物凄く考えたし、お芝居を大切にやってきました。
だから音楽に支えられつつも、まるでストレートプレイのような良い緊張感もあります。
今回もWキャストでやらせていただいて、深く関わる役の方々もWキャストで。
組み合わせによって、今回は特に、別物レベルに作品が色を変えるキャスト陣になっていると思います。
今やらせていただいているオランプ・デュ・ピュジェという役は僭越ながらヒロインという立場なのですが、そういう役の時は'ヒロイン'としての在り方についていつもとても考えています。
今回の1789のお芝居は、基本の気持ちの流れや骨組みはお稽古場で小池先生にいただいていながらも、Wキャストの全員、当たり前ですが背格好も間合いも、ひとつのセリフへの演技プランも全然違うんです。
だから、シャッフルする度に心の動き方も違う。
特にオランプは相手役であるロナン、お仕えしているマリーアントワネットによって、表情や歌い方も変わります。
ヒロインとは、自身が輝いて、任されたことをクオリティを守ってやれなければならないのは大前提として、カップリングものの場合はやはりヒーローを引き立たせて、魅力的に見せる役割があると思います。
向き合ったその日の相手役に、より不安なく、安心して演じてもらえる空気感や、見栄え含めそのシーンをブラッシュアップさせることもひとつだと思うし、
「並んだときに画になるなぁ」とか、
「デュエットが聴いていてとても心地良いなぁ」とか、
ヒロインの時は自分を褒められるよりも、こういうお言葉がいちばん嬉しいです。
今回で言えば、デュエットさせていただいているロナン2人もシャルロット3人も、当たり前ですが声質の個性も歌い回しも違う。
限りなくシンクロした美しいデュエットに出来るよう、音の当て方やしゃくり方のカーブ、ブレスの位置、フレーズの切り方など、その日の相手に添うように少し変えています。
歌稽古の録音や舞台稽古で譜面に書き込んだメモを元に、
小池徹平くんとでも加藤和樹くんとでも、みゆちゃん、みほちゃん、さくらちゃんとでも、なめらかなデュエットになるように心がけて歌っています。
自分1人ではなく、関わらせていただいたシーン自体が良いシーンになるのが良いと思うし、展開と、演出が意図するところがお客様に明確に伝わってほしいと思うんです。
そういう探求がまた、楽しい!
あと6日と大阪での地方公演を残すのみですが、最後までオランプという与えられた役を深めながらも、ひとの支えにもなれるよう頑張ります。