理佐side










小林「理佐おはよう」



理佐「おはよー」










由依と席が隣になってから1ヶ月が経った。




席替えで隣になれたのは、私にとってまたとないチャンスだった。




うざがられていないか心配になるくらい、ことあるごとに話しかけた。




一緒にいることも多くなって距離も縮まってるけど、もう少し頑張りたい。




ちゃんと『由依のことが好きだ』って言いたい。




だけど、ここからどうすればいいんだ…










小林「理佐」



理佐「ん?」



小林「もう、聞いててよー」



理佐「ごめん、ボーッとしてた。何?」



小林「次、時間割だと英語だけど、先生たちの都合で数Ⅱに変更だって」



理佐「へー」



小林「なんでわざわざ振替で数学になるかなー」



理佐「…あれ?教科書ない」



小林「置き勉してないの?」



理佐「たぶん昨日の帰り、適当に鞄に詰め込んだから…」



小林「理佐もそういうことあるんだ(笑)私あるから見せるよ」



理佐「ごめんね、ありがとう」































…近い。




授業が始まって数分、私の頭は数学に関係することは全く考えていなかった。




隣の席とくっついてるとこんなに近いものだっけ?




由依はというと、真剣に先生の話を聞きながら板書している。




横顔もきれいだなー。










小林「ん?



理佐「ううん、なんでもない










私の視線に気づいた後、また真剣な顔をしてノートに向き合う。




今、私だけがこの顔を見ることができている。




由依は人見知りなのもあってか、他のクラスメイトとは深い付き合いがないらしい。




もっと由依のそばにいたい。




そう思った私は、開いてただけのノートにペンを走らせた。










トントン










ノートを軽く叩くと、気がついて今度はそこに視線を落としてくれる。




一回私の顔を見た後、下になにやら書いてくれている。




書いてあったのは『OK』の文字と、少しいびつなグッドマーク。




由依を見れば、マークと同じように手で合図してくれていた。

























平手「んじゃ、明日いい報告聞けることを楽しみにしてるよ」



理佐「プレッシャーかけないで」



平手「大丈夫。理佐、自分に自信持った方がいいよ。あんだけ告白されてるんだしさ」



理佐「好きな人に好かれてなきゃ意味ない」



平手「あはは、確かにそうだね。うん、でもたぶん大丈夫」



理佐「なんか根拠があんの?」



平手「ない!ほら、行ってこい!」



理佐「…いったいなぁ」



平手「こば!じゃーね!」



小林「また明日ー」










平手は、私の背中をこれでもかと力を込めて叩いて、由依に大声で挨拶をして颯爽と教室から出ていった。




気合い入れてくれるのは嬉しいけど、手形がついたんじゃないかと思うくらいの強さだった。




背中を伸ばしながら自分の席に戻ると、由依は机に軽く腰かけて笑っていた。



























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