理佐side
由依と一緒にのんびりしながら、ただ流しているテレビ。
インフルエンザの予防法が流れる時期になってきたなぁ。
私は少し前に予防接種したから、多少気持ちが楽。
そういえば…
理佐「由依、予防接種受けた?」
小林「…うん」
理佐「なに今の間。受けてないんでしょ?」
小林「んー、まぁ」
理佐「じゃあ受けに行こうよ」
小林「…いやだ」
理佐「え?」
小林「…大丈夫、ここ数年罹ってないし」
理佐「由依、もしかして今年も…」
小林「別に注射嫌いとかそういうのじゃないから。罹ってないから大丈夫っていう、そういうことだから」
わかりやすい強がりに苦笑いを浮かべる。
由依が意外に苦手なもの、注射だ。
普段からクールだから、予防接種くらいさっさと済ませるタイプかと思っていたけど、どうやらそうじゃないらしい。
理佐「でも今年も罹らないっていう保証はないじゃん?」
小林「…大丈夫でしょ」
理佐「そういう人ほど罹るんだって。私もついていくから、頑張ろ?」
小林「…」
お、あと一押しかな。
私としては、なんとしてでも受けさせたい。
去年は上手く逃げられたから、今年こそ。
話してる感じ、去年よりは聞き分けが良さそうだし、いけそうな気がする。
理佐「インフルつらいからさ、由依にそんな思いしてほしくないの」
小林「…」
理佐「由依がつらいと、私もつらいから。ね?一緒に行くから受けてくれない?」
小林「…」
理佐「んー、由依ー」
小林「手握っててくれる…?」
理佐「うん、力入らない程度になら」
小林「いやだ、ちゃんと握ってて」
理佐「わかった、でも力入れすぎると痛いし、お医者さん困るから気を付けてね?」
小林「…うん」
翌日、病院に着く前からずっと下を向いたままの由依。
そんなに心配しなくても一瞬で終わるのに。
理佐「大丈夫?」
小林「…大丈夫」
理佐「すぐ終わるから」
小林「…」
病室に入ってから、いつも小さい声がもっと小さくなった。
お医者さんの言うことはちゃんと聞いて返事もしてるけど、繋がれている手には少しずつ力が入っている気がする。
注射の準備が始まると、由依が私の方に顔を向けてきた。
眉毛も口角も下がってて今にも泣きそう。
理佐「大丈夫だよ、すぐ終わる」
小林「…」
理佐「手じゃなくて腕掴む?」
小林「…うん」
近づいて片腕を差し出すと、すぐに由依も腕を絡めてきた。
少しでも安心してほしくて、力を抜いてほしくて、できるだけ優しく頭を撫でる。
注射針が刺さった瞬間、由依の体に力が入ったけど、その頃にはもうすべて終わっていた。
理佐「ほら、終わったよ」
小林「…」
理佐「ありがとうございました」
小林「…ありがとうございました」
会計を済ませて病院を出ると、突然由依が立ち止まった。
手を繋いでいたから少し距離が空いたが、私もその場で立ち止まることになる。
理佐「どうした?」
小林「…痛かった」
理佐「まぁ、針刺してるからね」
小林「…でも理佐いたから頑張れた」
理佐「うん、よく頑張った」
そう言って、私は空いた距離を詰めて由依の頭をまた撫でる。
ただ繋いでいた手が、由依によって恋人繋ぎに変わる。
嬉しくて私は由依を抱き締める。
理佐「来年もちゃんと受けてくれる?」
小林「…考えとく」
たぶん、来年になったら病院に行くまでは苦戦するかもしれない。
でも由依はきっと受けてくれる。
だって今、私に抱き締められながらこう言ったから。
由依「理佐がいてくれるなら頑張る」
Fin
ぱむ さんからのリクエストで
『りさぽんが恋人で、予防接種(小林が注射が苦手で嫌がるのを理佐が付きそう)』
といただきました!
ゆいぽん、実際はめっちゃ針見てそうなイメージですけどどうでしょうか(笑)
欅坂は恐らくみんな予防接種してるでしょうけど、48Gみたいにその様子が少しでも世に出ることがないので、どんな感じか気になります…
すごく嫌がりそうな人がいなさそうです(笑)
予防接種受ける時期としてはもう遅いですが、楽しんでいただけてたらと思います!
改めてリクエストありがとうございました!