小林side


「先に言っとくけど、私、愛情表現とか苦手だから強要しないで」


意を決して告白して、OKをもらった後の一言目がこれ。
そういうタイプだろうな、というのは好きになる前から知ってた。
だからそれを了承して付き合った。






小林「今日一緒に帰れる?」

理佐「いいよ、じゃあ終わったら迎えにいく」


理佐はいつでも私を優先してくれて、好きでいてくれてるんだろうなっていうのは伝わる。

でも付き合い続けると、どうしても言葉で欲しくなってくる。




理佐「おまたせ、ごめん、HR延びてさ」

小林「ううん、大丈夫」


ちょうど理佐の誕生日の少し前に告白したから、付き合い始めてもうすぐ半年になる。

理佐の誕生日を恋人としてお祝いしたくてそのタイミングだった。


小林「さすがに1月になると結構寒いね」

理佐「そうだね、東京でも雪降るかもってニュースで言ってた」

小林「そうなの?そりゃ寒いわ…」



そっと理佐の手に視線を向ける。
実は今まで手を繋いだこともない。

こうやって一緒に帰るのはほぼ当たり前になったんだけど。

どうにかもう一歩先に進めないかな…と貪欲な私が出てくる。



理佐「あ、着いちゃったね」

小林「ほんとだ、今日も送ってくれてありがと」

理佐「このくらいは全然。じゃあまた明日ね」




このままでいたくない。
そう思った私はつい言ってしまった。




小林「あ、あのさ…」

理佐「ん?」

小林「理佐って私のこと…ほんとに好き?」

理佐「…」

小林「ご、ごめん!またね!」


ガチャガチャ
バタン


やってしまった。明らかに理佐の顔が曇った。
聞くなって言われたことを聞いてしまった。


小林「どうしよ…」











翌日の朝、理佐からLINEが来ていた。
昨日のこと怒ってるかな、と不安になりながら開いてみる。


risa:今日はどこで待ち合わせしよっか?


あれ、怒ってない?

でも、私は付き合う条件を破ってしまったわけだから、一緒にいる権利がない。


yui♪:ごめん、今日は用事あるから一緒に帰れない


初めて理佐からの誘いを断った。
これ以降、私は理佐と帰るのをやめてしまった。

最初の数日は理佐から来ていた連絡も途絶えた。





もやもやした気持ちのまま過ごしていたら、あっという間に付き合って半年の日になっていた。




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