夜の中を一人漂う

爪痕のような
三日月の夜

こんな暗い夜を
暗く静かな夜を
私は
どこまでも流れゆく

もう一人のわたしが
この水面に映る世界を
涼やかに滑り出し
伝えられなかった
数々の言葉を
貴方へ運ぶ

夢の波間にしのびこみ
その耳元にそっと囁く

満月は
全てを曝してしまう
闇夜は
あまりに淋しすぎる

だから
こんなに優しい三日月の夜に
あたたかな蒼い夜に

「おもい」を」集めて
仕立てた舟から
櫂を
夢の水面へ降ろそう

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