山間から、真っ赤なラインが突き抜けている。


1995年6月、夕方、午前中の雨もあがり、紺色の傘を片手に家路を急いでいる。


ごくごく平凡な一日であった。「帰ったら、昨日の続きを読もう。」この間買った村上春樹のノルウェーの森である。


上巻は読んだが、下巻は残っている。


さきは部活に入っていなかった。学校から帰ると、もっぱら小説を読んでいる。


川の堤防沿いを足早に帰っていった。大和橋に近づいたとき、下の方で「クゥ~ン」という音が聞こえた。


気になって、のぞいてみたが、何もない。


「気のせいかな」そのまま家に帰ることにした。


傘を干して、自分の部屋に戻ると、すぐジャージに着替えた。


お気に入りのADIDASのジャージだ。そして本を取ると、一心不乱に読みふけった。