HEATH OF 2006 ~僕たちのセント・エルモス・ファィアー #8(2) | I am say'S'

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「香り」をテーマにいろんなエッセイと小説を掲載します

        HEATH OF 2006 #8 C‘S BAR(#1)(2)
         ~spring


僕たちはHEATHに向かう前に腹ごしらえを十分とることにしている。
その日も定番となっているシーザーサラダ、フィッシュ・アンド・チップス、
そしてトマト味のミートボール・スパゲティにカルボナーラ、
それでも足りなくてスペアリブを注文、みんなで分け合う。
その店での僕の飲み物はコロナビールと決めている。

チナミはそのお店で、
「これからのHEATHに備えてノンアルコールカクテルにするわ」
と、ジンジャーエールをベースにしたサラトガ・クーラーを注文する。
とはいうものの、
「一口だけ飲ませて。」
と僕のコロナに口をつける。
コロナは細長いビンに直接口をつけて飲むので間接キスそのものだ。
チナミと本当のキスはしたことがないけれど。(あるわけないか)
十分腹ごしらえが済んでから、僕たちはアミをHEATHに招待した。

アミは初めてのHEATHで周りを見回している。
「見たことのないお酒ばかりね。どこまでがスコッチなの?」
「ここはスコッチが中心だけど、いろんなのものがあるよ。
向かって正面の棚はほとんどがスコッチのシングルモルト、
下にはいくつかブレンデッドも並んでいる。
そして左上の棚にはバーボン、右奥にはブランデー、
あとはカウンターにカクテルのベースになるお酒がそろっている、ってところかな」

「はいよくできました。」
チナミが軽く手をたたく。もうこの店では常連さんだ。
「まるでおさるさんみたいですね。そうか、チナミさん申年だっけ。」とタケ。
隣にいないので、手を出せないチナミはタケに「ふんっだ」と口をとがらせる。
「私も申よ。」とアミ。
「なあんだ、じゃあタケちゃんだけ仲間はずれね。シゲルさんも申なのよ。」
「珍しいわ。いままで申年とごいっしょする機会なんてなかったから。」
アミのセリフに、
「じゃあ、シゲルさんがボス猿ってわけね。」とチナミ。
もう4人は会話になじんでいる。

「仲間はずれの僕はアイラでいきます。アミは?」
タケがアミに目配せしている。
「マッカランが好きなんです。何か似たやわらかくて華やかな感じのおすすめってあります?」
「じゃあ、ちょっと珍しいマッカランの古いタイプでもいかかですか? 
12年だけど結構しっかりしていますよ。」
「じゃあ、それお願い。チナミさんは?」
「チナミさんにはシゲルさんがレシピを考えているんだって。本当ですか?」
タケの問いに
「そうだよ、今日の分はもう決めているよ。
もちろん、チナミが飲みたいのがこれというものがあれば別だけど。」
「もちろん、まかせるわ。」
ここからは僕がチナミに勧めるスコッチのちょっとした短編小説である。

「C‘S BAR」それは僕がいつも訪れるBar HEATHの別名。
もちろんその名で呼ぶのは僕たちだけだ。
名前はそのままチナミのための(CHINAMI‘S)Barであり、
SHE‘S(彼女の)Barでもある。
CHINAMI&SHIGERU Barでもある。
Barはお酒を飲む場所でもあり二人をつなぐ棒(BAR)でもある、
などといろいろこじつけてみる。
                             ・・・to be continued